深夜1時 ページ18
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翌日、あたしは夏希と二人で放課後喫茶店に入っていた。学校終わりの喫茶店は学生のテンプレートであり、今日もチラホラと同じ制服を見る。あたし達は少し奥の方にある二人がけの席についた。
夏希は電話で話していたことをもう一度聞いてくれた。あたしの悩みを、しっかり。話しているうちに止まらなくなって、つい長話をしてしまう。それでも夏希は嫌な顔一つせず、ずっと頷きながら聞いてくれた。本当に、いい親友を持ったものだ。
「 Aはさ、いっつも難しく考えすぎなんじゃない? 」
「 難しく……? 」
「 年齢とか関係ないって、最初に云ったじゃん。それでAも頷いた 」
そうだけど、そうじゃない。
確かにあの時はそう思っていた。年齢なんて関係ない。どれだけ歳の差があったって、あたしの気持ちが中原さんに伝わっていれば、それで。好きの気持ちがあれば年齢の壁なんて些細なものだと、夏希とそう話し合った。
でも、現実は違う。たとえお互いの気持ちに嘘がなくとも、世間の目は矢張り好奇の目が多かったのだ。あの時恋人だと思われたことが嬉しいんじゃない。中原さんの隣に並べるのが嬉しいんじゃない。ただ、あたしと中原さんがそういう目で見られていることが、悔しかった。
年齢なんて関係ないって、声を大にして云おうとしても、心の何処かで何かが邪魔をする。あたしだって本当は、どう頑張っても埋められない差があると、分かっているんじゃないか。
「 はいストップ。今云ったことさ、もしかして気付いてない?それとも、逃げてるの? 」
「 え……どういう、こと? 」
「 中原さんに気持ちが伝わってればって云ったけどさ、Aは一度でもはっきり気持ちを伝えたことがあったわけ? 」
「 っ、! 」
夏希の言葉に、ハッとした。
あたしは、何を考えていたんだろう。年齢差がどうとか、周りの目がどうとか。そんな問題よりも先に、好きだって気持ちを、一度だって告げていないのに。
夏希の云う通りだ。あたしはずっと逃げていた。中原さんのことが好きなあたしから。自分の中の弱いあたしから。何より、あたしに笑いかけてくれる中原さんから。向き合おうとして、無意識に背を向けていた。
こんなんじゃダメだ。こんなあたしは、悩む資格もない。
夏希はあたしを見つめて、微笑んだ。あたしはあの日みたいに、立ち上がった。今度は夏希と一緒に、あの人の所に向かう。
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しょこたん(プロフ) - 初めまして!警官中也さんとか最高過ぎます!続き更新してほしいです! (2018年12月10日 20時) (レス) id: 130af08cdc (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - キサラギさん» コメントありがとうございます!その発想はなかったけど面白すぎませんか、、、笑 中也さん不憫すぎます笑 マフィア中也さん×警察官夢主ちゃん、、、それはそれで面白いかもしれませんね笑 ありがとうございます! (2018年8月24日 6時) (レス) id: d14bf30071 (このIDを非表示/違反報告)
キサラギ - タイトルだけ見てるとマフィアの中也が (身長のせいで) 警察に補導されたのかと思って笑ったw (2018年8月24日 0時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - 乃杏さん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんと中也さんが色々すれ違っちゃうかもしれませんが、また暖かい目で見守ってやってください〜笑 (2018年8月22日 7時) (レス) id: bba8357d2d (このIDを非表示/違反報告)
乃杏(プロフ) - 夢主ちゃん!大丈夫!私の親は6歳差だから! (2018年8月21日 17時) (レス) id: 477b1e96bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しらせ | 作成日時:2018年8月11日 20時