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深夜1時 ページ17

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あれから、一時間も経たないうちにあたしは帰ろうときりだした。中原さんは驚いた顔をしていたけれど、お前がそういうなら、と云ってくれた。


あれからずっと悩んでいた。あの時耳に届いた言葉が忘れられなかった。
あたしは、中原さんと釣り合っていない。どつくに分かっていたはずだった。中原さんはすごく格好良くて、口は悪いけど本当は優しくて、無邪気に笑って。あたしなんかとは、とても釣り合わないくらい素敵な人だって。

分かっていたつもりだったのに、いざ周りの声を聞いてみるとぐっと苦しくて。あたし、いつの間にこんなに好きになってたんだろう。






「 ……叶わない、はずなのになあ 」







ケータイの番号も知らない。LINEも知らなければ、メールアドレスすら。あたし、中原さんのこと、なんにも知らない。

昼間の彼女達の声が頭の中で巡り巡って、喉元でつっかえる。上手く息をさせてくれない。どうしよう。このままだったら、想いもろくに報われないまま、消えちゃうよ。
傍にあったケータイを手に取り、LINEを開く。見慣れた画面。トーク欄の一番上に来ているのは夏希だ。夏希、今日のことすっごく心配してくれてたからなあ。なんて、云おう。悩みながらも、取り敢えず電話をかけてみることにした。








「 ……はーい。A?どしたの? 」

「 夏希、あのさ……っ、」

「 なに、ほんとにどうしたの。……ねぇ、もしかして泣いてる? 」

「 う、ひぐっ……ごめん 」

「 今から会える?分かった、あんたんち行くから 」







電話が切られて夏希の声が消える。余計な気を遣わせてしまっただろうか。いや、夏希はきっとそんなこと思わない。本当に、ただあたしを心配して来てくれるんだろう。

そんな、些細な優しさでも涙が零れるほど、あたしの心はぼろぼろだ。

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しょこたん(プロフ) - 初めまして!警官中也さんとか最高過ぎます!続き更新してほしいです! (2018年12月10日 20時) (レス) id: 130af08cdc (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - キサラギさん» コメントありがとうございます!その発想はなかったけど面白すぎませんか、、、笑 中也さん不憫すぎます笑 マフィア中也さん×警察官夢主ちゃん、、、それはそれで面白いかもしれませんね笑 ありがとうございます! (2018年8月24日 6時) (レス) id: d14bf30071 (このIDを非表示/違反報告)
キサラギ - タイトルだけ見てるとマフィアの中也が (身長のせいで) 警察に補導されたのかと思って笑ったw (2018年8月24日 0時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - 乃杏さん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんと中也さんが色々すれ違っちゃうかもしれませんが、また暖かい目で見守ってやってください〜笑 (2018年8月22日 7時) (レス) id: bba8357d2d (このIDを非表示/違反報告)
乃杏(プロフ) - 夢主ちゃん!大丈夫!私の親は6歳差だから! (2018年8月21日 17時) (レス) id: 477b1e96bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しらせ | 作成日時:2018年8月11日 20時

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