実験体 ページ12
…風邪は完治。
…体調も回復。
…事件も風化。
そろそろ、潰しにかかるとしよう。
お姉ちゃんや他の人たちの分の恨みも込めて。
ボクが潰してやる…あんな研究所!
☆ ☆ ☆
ボク達は小さい時に捨てられた。
母親はボクを産んですぐに何処かへ行った。
稼ぎを全て女遊びに費やす父親はボク達が邪魔になって、里の外れにある研究所へ捨てた。
其処では、人体実験が行われていた。
人を兵器として使えるように…その為の薬の開発と副作用の研究、効果をもとに改良し投与…
ボク達はその薬の実験体だった。
その施設にはボク達の他にも色んな子がいた。
赤ん坊から高齢者まで、年齢性別問わず…全て捨てられた子や身寄りのない人だ。
みんな檻の中で過ごし、研究者が連れに来たら地下へ連れて行かれ、実験体となる。
しかし…檻の中にいる徐々に人は少なくなっていった。
代わりに、怪物と成り果てたり、化け物となり帰ってきた。
時々、死体となっていることもあった。
でもボク達はそんな事もなく、薬は全て適応した。本来の目的である効果が出た。
自我も保ち続けられ、病気する事もなかった。
だからか…研究所長と副所長の側近としてボクとお姉ちゃんが採用された。
普段は側近として。時には実験体として。
実験体になった次の日は経過観察のため檻の中で過ごした。
ボクは所長に、お姉ちゃんは副所長に仕えた。
それぞれ、マスターと呼んだ。
所長達は、ボク達を…本名で呼んだ。
ホロウ、ヴェリテ、と。
ボクの番号であるNo.0、お姉ちゃんの番号であるNo.5、ではなく。
研究者達はみんな番号で呼ぶ。
どうしてだっただろうか。
そんなことは聞けずに、二人とも逝ってしまった。
ボク達の手で。
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