彼氏 06 ページ6
−
Aちゃんが居なくなった後を狙ったようにご飯のお誘いをされた。
俺はすかさず「彼女が居るからそう言うのは断ってるんだ」と微笑んだ。
すると、悔しそうに口を詰むぎ、「そうですよね…」と、この場を去った。
“ 彼女がいるから ” って最高だね。
これなら何でも断れる気がする。
前も使ってたけど、彼女本人の存在を確認しない限り認めないからと女性社員に言われ頼める女性も居なく、諦めた。
だからAちゃんの存在も大きくて、ほんと助かってる。
俺の計画はこうだ。
プライベートにも関われない彼氏となんか愛想尽かして一ヶ月後にはきっと別れている。
そう遠くない未来を想像しながら、食堂に向かった。
.
前言撤回。
俺にとって彼女の存在は大きすぎたお荷物の様だった。
食堂に行けば、「彼女と食べるよな？」と同僚には遠慮され、「彼女が一生懸命働いてるから差し入れでもあげたらどうだ？」と菓子パンを手渡され、挙句の果てには「彼女送って帰れよ？」と念を押された。
彼女の為にそんなに彼氏は尽くさなきゃ駄目なの？
口を開けば彼女、彼女。
Aちゃんの所に行けば、条件が引っかかって困ったような笑顔で「色々ありがとうございます」とか、「無理して来なくても大丈夫ですよ」とか言ってくるし。
俺が困るわ。
俺だって適度の距離を保っていたいのに、周りが “ 彼氏 ” なんだからと言ってきて俺達の関係を壊すのだ。
そんな事を考えては、自分は悪くないと言い聞かせ、一緒に帰るためにAちゃんを迎えに行く。
「Aちゃん居ますか？」
隣の部署に声を掛けるとざわつき始める。
「茅ヶ崎さんだ」とか「今日は彼女の所為で忙しそう」とか聞こえるか聞こえないかぐらいの音量で会話している。
でも俺は聞こえないフリをして目が合った社員達に微笑みを返す。
「茅ヶ崎さん…？」
後から聞こえ、振り返るとAちゃんがハンカチで手を拭いていた。
お花でも摘みに行ってたようだ。
「一緒に帰らない？まあ、途中までだけど、」
「え、っとその…」
「条件が無かったら一緒に帰りたい？帰りたくない？」
「……一緒に帰りたい、です」
「じゃあ下で待ってるね？」
「あ、はい。い、急ぎますね…！」
早足で片付けをしているAちゃんに少々愛らしさを感じ俺は車に向かった。
−
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 448人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白身魚(プロフ) - natugyuさん» comme thanks* 面白いと言って頂き感謝の言葉しかないです。最初は至さんをこんな性格の悪い奴にして大丈夫だろうか、と不安がありましたが心強いです。夢主ちゃんも心広すぎて少しは茅ヶ崎怒れよお！って思いながら書くときもありました笑 更新頑張りますね(*´ｪ`*) (2018年5月16日 20時) (
レス) id: d04133848a (このIDを非表示/違反報告)
natugyu(プロフ) - とっても面白いです！至さん推しなのに夢主ちゃんの健気さに胸を打たれてしまいましたｗ (2018年5月16日 16時) (レス) id: 5862bce5b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白身魚 | 作成日時：2018年4月22日 20時
