彼氏 02 ページ2
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どんなに美人でも、どんなに可愛い人でも、断り続けていた俺に恋人が出来た、という話は物凄い勢いで知られていった。
「おはようございます、茅ヶ崎さん!あの、彼女さんの話って、」
「お、茅ヶ崎じゃん!彼女出来たって話ってホントか?」
しつこい。
あんな条件を呑み込んだ彼女もどうかしてる。
花崎A、ねぇ。
あの条件を提示した後、花崎Aさんは嬉しそうに泣いて「私と付き合ってください」と笑っていた。
俺は知らなかったけど、花崎Aさんは隣の部署で働いているらしい。
一応連絡先も交換した。
夜もLIMEから一通来てて、『おやすみなさい』とシンプルに書かれてあり、俺も『おやすみ』と返した。
俺からは連絡することは無いが、今日の朝も『おはようございます』と来てて、ほんとに律儀だなあって思いながら返事を返した。
「茅ヶ崎先輩の彼女って隣の部署って聞いたんですけど」
「え?そうなんですか!?」
「いやー、まあ…」
「隣の部署って美人さん多いもんね〜」と女性社員達が話し合う。
その隙に俺は花崎AさんにLIMEで隣に来るよう送った。
するとすぐに既読が付き、『分かりました』と返事が来た。
「茅ヶ崎至さんいらっしゃいますか」
すぐに花崎Aさんは来て、俺を呼ぶ。
俺はすぐ手招きをして、「失礼します」と入ってきた。
彼女が俺の横に来ると、腰に腕を回し密着させると、見せつけるように「Aちゃんが俺の彼女なんだ」と、社員が言う王子様スマイルを見せた。
Aちゃんは密着している事と、社員に自分があの茅ヶ崎至の彼女であると宣言された事に戸惑っており、顔が真っ赤で放心していた。
意外と可愛いかもしれない。
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「あの、私も一ついいですか…?」
「物によるけど」
「名前で、呼んで欲しいんです。私、花崎Aって言います」
「花崎Aさんね、Aさん?」
「あっ、いえ、その…」
「うそうそ、Aちゃん…でいいかな?」
ちゃん付けで呼ぶと彼女は嬉しそうに「夢見たい」と呟いていた。
家に行きたいとか、休日はデートして欲しいとかそんなんじゃなくて本当に良かった。
女の子は名前で呼ばれるだけでこんなに嬉しそうにするのが俺は今でも不思議でたまらない。
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白身魚(プロフ) - natugyuさん» comme thanks* 面白いと言って頂き感謝の言葉しかないです。最初は至さんをこんな性格の悪い奴にして大丈夫だろうか、と不安がありましたが心強いです。夢主ちゃんも心広すぎて少しは茅ヶ崎怒れよお!って思いながら書くときもありました笑 更新頑張りますね(*´ェ`*) (2018年5月16日 20時) (レス) id: d04133848a (このIDを非表示/違反報告)
natugyu(プロフ) - とっても面白いです!至さん推しなのに夢主ちゃんの健気さに胸を打たれてしまいましたw (2018年5月16日 16時) (レス) id: 5862bce5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白身魚 | 作成日時:2018年4月22日 20時