12 ページ13
戦闘が終わった夜は、やけに静かで、うるさかった
平助くんに寄り添い、後に倒れこんでしまった女の人。
私はこの人を知らないのに、何故か原田さんや永倉さん、平助くんも彼女を知っているようだった
彼女が倒れこんだ音。
その音を聞くと、原田さんや永倉さんも血相を変えて彼らに走って寄り添った。
私もそれにつられ、平助くんたちに寄り添ったのだが、その女性と平助くんを除く、私たち三人は驚いた。
あんな辛そうに肩を上下させていた、あんなに血だらけだった平助くんの傷が、呼吸が、何事もなかったかのように綺麗になっていた。
その後、屯所にはその女性と平助くんを含む、多くの負傷者が運び込まれた。
御陵衛士は重症の数人を残して他は全員、死亡した。
もちろん、皆さんの活躍もあっただろう
でも見ていた誰もが分かったであろう通り、一番はあの女の人の成果だと、私でさえ思う
あの女の人は、何故かAさんの部屋に運び込まれた。
そして、朝になっても、Aさんを見ない。彼は屯所に残っていたはずなのに。
原田さんに聞いた。永倉さんにも、土方さんにも、聞いた
誰も、なにも話してくれなかった。
今、Aさんの部屋には大勢の幹部の方が集まっている。
茶を持って行こうかとしていたのだが、土方さんに断られる始末だった。そして「平助を見ててくれ」と、ただそう言われた
_____ガラッ
「平助くん？」
一応呼びかけてみるが返事はない。
昨夜の血だらけの平助くんの服はどこにもなくて、代わりに彼は白い寝間着を着ていた
平助の寝ている隣に座る
昨夜も驚いたが、大きな怪我はおろか小さな傷一つ見つからない。
平助くんの布団は、正常に上下していて、ごく普通に寝ているようだった
「…平助くん、私、信用されてないのかな」
もちろん彼から返事はない。
でも、知らないうちに言葉がポロリと零れていった。
平助くんに話しているように見えるだろうけど、本当は自分に話しかけていたのかもしれない
分かっている。奥深い事で、重要で、とても大切な事は。
でも私は、彼女の名前おろか正体も知らない。
そして、誰もその事について教えてくれなかった
「いつか、きっと私にも話してくれるよね」
正座している膝の上で、拳をキュッと握った。
大丈夫。時がなんとかしてくれる場合だってあるんだから。
そう、自分で言い聞かせた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ドラごん(プロフ) - にわかさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2016年7月12日 21時) (
レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
にわか - 更新頑張って下さい応援してます！ (2016年7月12日 21時) (レス) id: 273458644d (このIDを非表示/違反報告)
ドラごん(プロフ) - 睦月 雪さん» そう言っていただけて、とても嬉しいです！最近本当に忙しく疲れてしまって全く更新ができていませんでした…。一気に更新が来ると思うのでもう少々お待ちを！本当にコメント嬉しかったです。ありがとうございました (2016年5月25日 0時) (レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
睦月 雪(プロフ) - すごく好みの作品です！読んでいて飽きないし楽しいです。更新がんばってください！楽しみにしてます！ (2016年5月24日 23時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ドラごん(プロフ) - 燐ﾀﾛさん» ありがとうございます！！頑張りますねっ！！ (2016年2月16日 22時) (レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ドラごん | 作成日時：2016年1月16日 11時
