第295話 NOside ページ45
鬼翔が部屋に戻ってから数分後
「…ん…」
ふと、清美の方に目をやると
静かに目が開かれた
鬼翔「清美」
まだ熱もあってか
ぼーっとする頭を必死に動かす
清美「…鬼翔…?」
とりあえず起きようと体を動かし
鬼翔「待て清美
急に起きるな」
清美の手を引きながら
鬼翔は自分の額と清美の額をくっつけた
清美「ふぇ…?
き、鬼翔…?//」
清美からしてみれば
大好きな彼の顔ら目の前に
しかもドアップである訳で
清美「っ〜…///」
鬼翔「まだ熱いか…
卵粥作ったが…食べれそうか?」
少し動けば鼻の先が当たってしまうような距離
大きな手が清美の頭の後ろに回る
風邪以外の熱が顔に集まる
清美「…っ…」
喋り方を忘れたように
キョトンと顔を真っ赤にさせたまま
ボンッと湯気が上がる
清美「ぁ、えと、その…」
ようやく出せた言葉はそんな曖昧な言葉で
上手く言葉が繋がらない
どうしたもんかと熱でぼーっとする
頭で必死に考える
そんなとき額に当たる柔らかな感触
額にキスをされたと理解した時には
カァーッ…と熱い顔がさらに熱くなる
鬼翔「悪い、遊びすぎたな」
スっと離れ微かに浮かべる鬼翔の表情は
小悪魔の笑みだった
清美「もう…ずるい…//」
粥の乗ったお盆を手に取ると
“食うか?”といい具合に冷めた
粥をレンゲに取ると清美の口元へ持っていく
清美「え…と…?」
彼女は今日だけでなんどキョトンと
したら良いのだろうか
簡単に言えば“あーん”をされている状況だ
清美「っ//」
鬼翔「食えないか?」
天然なのか鈍感なのかはたまたわざとなのか
鬼翔は粥をのせたレンゲを
清美の口元に差し出している
清美「ぁ…あーん…」
頬を熱く染めながら
差し出されたその粥を口に含んだ
清美「…美味しい…!」
鬼翔「そうか
作ったのは初めてだったが
…作った甲斐があったな」
フッと無意識だろうか
鬼翔は優しく微笑んだ
清美「っ//
あ、あの、その、鬼翔…?」
鬼翔「ん?」
清美「残り、自分で食べたい、な…?」
鬼翔「無理に全部食べなくていいからな?」
そう言って鬼翔は
清美の膝の上にお盆を乗せる
清美「うん、ありがとう」
レンゲに粥をとり口に運ぶ
喉が乾けば水を飲む
美味しそうに食べる清美を
鬼翔は何やら満足そうな顔で眺めていた
清美「ね、鬼翔」
鬼翔「どうした?」
清美「…さっき
初めて作ったって言ってたけど…
誰かに教えてもらったの…?」
鬼翔「…いや、昔姉貴によく作って貰ってたんだ
その見様見真似さ」
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智琉深 - 続き楽しみにしてるね! (2020年2月14日 2時) (レス) id: 236b4e0967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:龍央 | 作成日時:2020年2月14日 2時