第293話 NOside ページ43
どのくらい経ったのだろうか
真上に昇っていた陽はいつの間にか傾きかけていて
気がつけば愛美は沖田の隣で寝てしまっていたらしく
慌てて飛び起きる
ここに来るまでの間に感じた
気配や殺気はすっかりと消えていた
安心のため息をひとつ
つくと愛美は沖田の肩を揺すった
愛美「隊長ー起きてくださーい」
沖田「んー…愛美ィ…」
愛美「ほらほら、早く帰らないと
鬼のように血相を変えた副長に怒られますよー？」
沖田「チッ…
そのまま血管切れて死んじまえばいいんでさァ」
ふぁあ…とひとつ大きな欠伸をすると
沖田はアイマスクを首に下げた
彼の朱い色の目から逸らせなくなる
なんと言うか…綺麗で
愛美「…おはようございます隊長
もう夕方ですよ？」
そんなことを悟らせないために
愛美は普通に接した
スっと立ち上がり愛美は
んーっ！と大きく背伸びをする
そんな背中に沖田は問いかけた
沖田「…なァ、おめぇ…
俺に、なんかしたかィ？」
溢れ出そうになる感情や言葉に
必死に蓋をして振り返る
愛美「何もしてないですよ
ただ俺も隊長の隣で
お昼寝しちゃったってだけです」
どこか腑に落ちない反応で
“そうかィ…”と零した
愛美「ほら帰りますよ
隊長達が首を長ーくして待ってると思うので」
沖田「あー…帰りたくねぇ…」
と、愚痴を零した沖田を宥めつつ
2人のこの時間を大事にしようと決めた
彼の隣を歩ける
それだけでも愛美は幸せを感じていた
重症と言えばそうなんだろう
このまま時間が止まってしまえばいいと
思ってしまうのはきっと…
…隣に居るのが彼だから、なのだろう
愛美「…隊長」
沖田「なんでィ」
愛美「何かいい夢でも見たんですか？」
沖田「…そいつァ…秘密だぜィ」
それがどうした？
と、沖田は問いかけてきた
愛美は幸せそうな顔で寝ている沖田を見ていた
だからふと気になったのだ
彼がどんな夢を見ていたのか
愛美「いいえ、なんでも」
沖田「なんでィ教えろよ」
愛美「隊長が教えてくれるなら
良いですよ？」
沖田「そいつァ無理な相談だなァ
隊長命令だ言え」
愛美「なっ！！
ずるいですよ！？
こんな時ばかり隊長の立場利用して！！」
沖田「良いじゃねぇか言えよ」
そんな他愛もない話で盛り上がったのは
いつぶりだろうか…
微かだが沖田の口元も笑って緩んでいた
屯所へ着くと
愛美と沖田2人して副長の土方から
説教食らったのは言うまでもない
しかしそんな2人のやり取りを
陰から見ていた人物がいた事には気づかなかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
智琉深 - 続き楽しみにしてるね！ (2020年2月14日 2時) (
レス) id: 236b4e0967 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：龍央 | 作成日時：2020年2月14日 2時
