第255話 NOside ページ5
男「太陽のように人の上に輝けなくとも
人知れず地を照らす月の美しさを俺だけは知っている
俺だけは見ていてやる
俺だけは…お前を護ってやる
そう…俺は護りに来たのさ
かつての美しい
イカれた様な歪んだその顔で
原型も留めていないその顔で
月詠の前に立った
月詠「し…師匠」
銀時「…」
男「俺の化生も見破れなんだか
…皮肉なものだな
己を捨てるために顔を捨てたというのに
その捨てた顔が今や俺という存在の唯一の目印
己の顔となっているのだから」
右肩を抑えながら
消えそうな声で男に“…師匠…”と呼んでは
月詠は問いかけた
月詠「何故ぬしが…生きている
…何故ぬしがこんなマネをしている!?」
男「しれたこと
…お前に会うためさ月詠」
当然だと言うように
月詠の質問にゼロ秒で答えた
・
日輪side
…その男は自分の名前も顔ももたない
公に棒ずるため
初代百華頭領、月詠の師匠だよ
幼少の頃から月詠にその技を叩き込み
1人の修羅を作り上げたのはあの人
月詠に女として生きていく道を
捨てさせたのもあの人
今の月詠を作り上げたのはあの人なの
そうして自らも月詠に教えたように
自分を捨てて死んでしまった
4年前吉原に起きた大火
月詠を護るためにあの人が護っていたのは
吉原なんかじゃなかった
手塩にかけて育てた弟子
月詠だったんだよ
…感謝してる
…あの
護ってくれたこと
ずっと支えになってくれたこと
…でもあの
背中を追いかけているから
そして多分あの人が護ろうとしたもの…
月詠であって月詠でないもの…
自分の作りだした“作品”
・
地雷亜side
月詠お前は俺が
心血を注いで作りだした一個の芸術品だ
死を装い吉原から消えたあとも
ずっと見ていた
頼る者を失くし1人で必死に吉原を
日輪を護るお前の姿本当に美しかった
まるであの月のように
人は肉体も善も悪も超越し
その魂だけを浮かび上がらせる
お前という作品俺無しでは完成しえなかった
だが俺が存在しても完成しえなかった
心に
持つ弱き者が己など捨てられるわけもない
頼るものなどない孤独
それに耐えうる強き心を持って
初めて己という存在を捨てられるのだ
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智琉深 - 続き楽しみにしてるね! (2020年2月14日 2時) (レス) id: 236b4e0967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:龍央 | 作成日時:2020年2月14日 2時