第241話 沖田side ページ41
…そう、姉上の時のように
後悔をしたくなかった
それをあのニコチンマヨラー野郎に
気付かされた
“後悔しねぇ道を選べ”
…らしくもねぇ事で悩んでた
姉上の時は結婚するってんで
江戸にやってきた
だがその結婚相手が俺達真選組が
しょっぴかねぇとならねぇやつだった
…たった
姉上には幸せな時間を味わって欲しかった…
…けどそれは叶えてやれなかった
1番大変な時…苦しんでる時に
旦那と一緒にその場を離れて…
結婚相手をしょっぴきに行った
…帰ってきた時には手遅れで…
そんな俺のどこが偉いってんでぃ…
ずっと考えてた
掴んだ姉上の手はまだ暖かくて…
…その暖かな手から力が無くなった時
俺ァ…後悔しかしなかった
今この場でアイツを引き止めなけりゃ
また同じように後悔する
…そう思った
だから俺はあの時
“俺は好きなように生きて好きなとこ行くさ”
そう言ったアイツのことを
引き止めずにはいられなかった
“…行く宛てなら
沢山ありますから”
ズキッと心臓が痛んだ気がした
もう1人の俺が言ってる気がした
“お前の居場所はここだろ？”
散々言葉で傷つけた俺に
そんな言葉を吐く権利なんてもんは無い
だけどこれくらいは…言ってもバチは当たらねぇ
“…行かねぇでくだせぇ…”
考えて考えて考えた末
ようゆく出て来て言葉はそれで
自分の中にあるよく分からない感覚
モヤモヤとした感情を
どう言い表したらいいかなんて俺は知らなかった
“俺は新米な上に攘夷浪士なんですよ
引き止める理由なんてどこにあるんですか？”
そうだ
引き止める理由なんて無いはずだ
だが新米？攘夷浪士？
…なもん知らねぇよ
“攘夷浪士1人、孤独にしたところで
何も変わらないですよ”
…確かにそうだ
1番隊には他にも隊士がいる
けど…他の誰よりも俺ァ…
アイツが良かったんだ
…アイツを1人にしたくなかった
伸ばした手を放したくなかった
どこにも行かないで隣にいて欲しかった
今度こそ…失う訳には行かなかった
手を離せばどこか行ってしまう
今手を差し出さずして後悔するより
手を差し出して後悔した方がマシだった
どこかへ行ってしまいそうなその背中に
手を伸ばして…後悔しないうちに…
“…俺の隣はおめぇがいいんでィ愛美”
ふと気がついた時には
そう口走っていて俺は思ったことがある
俺とアイツは初対面なんかじゃねぇ
俺の中からあいつという記憶が抜け落ちてんだ、と
…はやく思い出してやらねぇとな…お前のこと
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智琉深 - 続き楽しみにしてるね！ (2020年2月2日 22時) (
レス) id: 236b4e0967 (このIDを非表示/違反報告)
智琉深(プロフ) - 龍央の書く小説大好き！ (2020年1月18日 1時) (レス) id: f127ee41ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：龍央 | 作成日時：2020年1月17日 3時
