Silver Soul 【銀魂】ー俺達の生き様ー【Ⅴ】 (ページ33)

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第233話　NOside ページ33

“お前を俺達に託した”

沖田「…は？」

その言葉を聞いて
訳が分からないと言わんばかりに
気の抜けた声が帰ってきた

“俺に何かあった時は…
隊長をお願いします”

確かに愛美はそう言った
こうなることを知ってて言ったのか
それともいづれ訪れる時期に向かって言ったのか
その時の近藤は分からなかったが
今なら分かる

そんな話を聞いていない沖田が
唖然とするのも無理はない

沖田「どういう事ですかぃ…
俺ァ、何も…」

“聞いていない”

それもそうだ
愛美は彼、沖田を避けるように
生活していたのだから
話をする暇もなければ
話しかける隙も無いのだ
何も知らない
という解釈になるのも
ある意味は仕方ないことなのかもしれない

なんせこの件は近藤の口からは
愛美から口止めされてるため
山崎から得た情報で
としか言えてないのだ

近藤「実はな…俺はお前に嘘をついた」

沖田「…」

土方「近藤さん…それは…」

近藤「いいんだトシ

この件、俺じゃなくて愛美が気づいたんだ」

沖田「アイツ、が…？」

近藤「山崎を行かせたのも愛美の指示だ」

沖田「じゃぁ…山崎からの情報ってのも…」

“そうだ”
と言うように近藤は
沖田の目をまっすぐ見ながら頷いた

近藤「…すまなかった
騙すつもりはなかったんだ
…愛美に口止めされてな…」

沖田「…っ」

まただ
また、ツキンと胸が痛んだ
愛美のことを聞くと
何故か沖田は決まって胸が痛むのだ
何かを思い出そうとすると頭痛に襲われる
そんな状況に少なからず苛立ちを覚えていた
自分の中では新米、その筈なのに
近藤や土方からしたら副隊長の候補者でもあるのだ
自分の知らない事がありすぎて苛立ちを隠せなかった

沖田「…愛美は…
俺のなんなんでぃ…
なんでこんなに…」

土方「…総悟」

沖田「なんですかぃ土方さん」

土方「…後悔しねぇ道を選べ」

沖田「…！！」

近藤「悩んで答えを探して導き出す
そしてまた悩んで答えを探しながら生きる
世の中ってなぁその繰り返しだ
それが人間のあるべき姿ってもんだ」

沖田「近藤さん、俺ァ…」

気がつけば
沖田は握り拳を作っていた

近藤「ゆっくり考えて答えを見つけるといい」

沖田「…愛美」

輪の中にいる彼女の名を呟いた
それだけなのに何故か心が落ち着いた

未だに輪の中では未だに戦闘が行われていた
自分の血なのか返り血なのか
黒い真選組の服が赤黒く染まっていた

血飛沫が飛ぼうか自分から血が出ようが
それでも彼らのお構い無しの戦闘は続く