Silver Soul 【銀魂】ー俺達の生き様ー【Ⅴ】 (ページ16)

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第216話　万事屋side ページ16

万事屋で他愛もない話で
ギャーギャーと騒いでいると
鬼翔の持つ携帯が鳴った

画面に映し出された名前は

“姉貴”

よっぽどの事がない限り
愛美は鬼翔に電話をしない

何かあったのだろうか
そう思い電話に出る

鬼翔「姉貴？どうした？」

『…今、大丈夫か』

確実に大丈夫とは言えない声だった
不安と恐怖が入り交じったそんな声
滅多にそんな声を愛美がだすことは無い

鬼翔「あぁ、大丈夫だ」

『隊長が攘夷浪士に襲われて帰ってきた』

鬼翔「は？」

『…それと

…。

…お前も帰ってくる時気をつけろ』

鬼翔「お、おう？」

“じゃっ”

それだけ言うと愛美は
一方的に電話を切った

伝えたかったのはそれだけのはずが無い
分かっていても鬼翔は深追いをしようとはしなかった
もう既に切れた携帯の画面を見つめる

その様子を心配そうに見つめる清美
見つめる目は“大丈夫？”と言っているようで
鬼翔は清美を衝動的に抱きしめた
彼の腕の中にすっぽりと収まる清美は
少し頬を染めていた

鬼翔「清美
今日ちとこれから
帰ってやらなきゃなんねぇ仕事が出来てな」

立とうとする鬼翔の服をギュッと掴む
まるで置いてくな、と
私も一緒に行く、そう言っているようだった

鬼翔「けど清美
今日仕事の日じゃねぇだろ」

清美「…」

今の鬼翔を
1人にしたくない

きっとそれが清美の思いなんだろう
その思いを知ってか知らずか…
清美の頭をそっと撫でて
そのまま頭を抑えると
唇にキスを落とした

鬼翔「…好きだ」

耳元で囁くように言われると
更に顔が熱で赤く染る

鬼翔「銀時
清美のこと、頼んだ」

銀時「へいへーい」

新八「なんですかそのやる気のない返事は…汗」

銀時「…鬼翔無理すんじゃねぇぞ」

鬼翔「もし俺に何かあったら
万事屋、お前らが清美を護ってくれ」

新八「鬼翔さん…」

銀時「…」

そのまま鬼翔は
彼らに背中を向けると
そのまま玄関へと向かった

その時清美が
背後から鬼翔のことを抱きとめた

鬼翔「…清美？」

清美「…、…」

行かないで、そんな言葉ではなく
聞こえた言葉は…

“好き”という言葉だった

その声は今にも消えてしまいそうで
耳を済まさないと聞こえないくらい小さな声で
だけども鬼翔にはちゃんと届いていた

そんな様子を見ていた楓乃音は
そっと口を開いた

楓乃音「安心しろよ
お前がいない間は俺が姉貴を護っから」

鬼翔「…頼んだ」

“行ってらっしゃい”

そっと体を離すと清美は鬼翔の背中を見送った
必ず帰ってくると信じて