Silver Soul 【銀魂】ー俺達の生き様ー【Ⅲ】 (ページ21)

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第121話　月詠side ページ21

あれから
月詠は1人残り百華の相手を一手に引き受けていた
ところが反撃する様子はなく
大量に降り注ぐクナイを手持ちのクナイで
撃ち落としていく

ところが限界もあり
あちこちにクナイが刺さる
それでも月詠は立ち続けた

「…。
何故…反撃しない」

月詠「わっちに…
ぬしらを殺す権利はない

今までわっちは
吉原を護るためぬしらと共に
掟を犯す者達を捌いてきた

時に吉原から逃げ出そうとする遊女達を
時に客の取れなくなった遊女達を

そんな所業を重ねてきたわっちが
掟に背きながら己だけ
のうのうと生き残れるとは思っておらん

殺すがいい、反逆者(わっち)を

…だが…
時間は稼がせてもらう」

「己が身を挺して賊を護るというのか！！」

頭にきた百華はさらに攻撃の雨を降らせる
そんなクナイを月詠は必死に弾き落としていく

月詠「この吉原(まち)に
護る価値などありんせん

そう思いながらも鳳仙の傀儡(かいらい)になり
何も変えられぬ、何も変わらぬと、諦め
吉原(まち)を…掟を護ってきた
日輪のいるこの街で護る事が日輪を護る事に繋がる
そう思って剣を振るってきた」

髪をまとめていた髪留めまでも外れ
髪が重力に逆らわず解かれる
1本のクナイが
月詠の右腕に突き刺さり持っていたクナイが飛ぶ
そして次の瞬間数本のクナイが月詠の体に刺さる
それでも月詠は続ける

月詠「わっちは何も
…何も…護ってなどいなかった

わっちが護ってきたのは
日輪でもこの吉原(まち)でもない

自分の檻」

限界が来た月詠は口から血を吐いて膝を着く
それでもまだ月詠は口を動かす

月詠「吉原に檻を張ったのは
誰でもない…わっちじゃ

鳳仙を恐れる余り
変わることも、変えることもせずに
全てを諦観(ていかん)し
己が心に檻を張ったのじゃ

己の身のかわゆさゆえに
檻に閉じこもりその檻を必死に護っておったのじゃ

吉原を護る…日輪を護る
全ては言い訳

逆らっても仕方ない
日輪の為だから仕方ない
わっちは己の臆病をさを
隠すために日輪を利用したんじゃ」

立とうと手に力を入れ
足に力を入れガクガクとさせながらも…

月詠「…何も変わっちゃぁいなかった」

──本当の不自由ってのはね
自分で心に檻を張っちまうことさ──

月詠「わっちゃあの頃から
何一つ変わっちゃおらんかった」

──死ぬだ何だ喚いて逃げ回ってる暇があったら
檻ん中で戦いな自分(てめぇ)と──