気に食わない【山崎退】 ページ12
気に食わない。俺は今ものすごく気に食わない。何でって……俺の彼女のAが沖田隊長にばっかり構ってるんだよ? 俺、彼氏だよね…?
彼氏をほったらかして、沖田隊長とばっかり話してるなんてさ…まぁ、たしかに沖田隊長カッコイイけど……俺、飽きられたのかな、なんてちょっと悲しくなったりもする。これは、ちょっと話をしてみるべきだな。
「A、ちょっといい?」
「ん、何、どうしたの?」
「…うん、話したいことがあってね」
そう言うと彼女は少し不安そうな顔をした。
「な、何……?」
「俺さ、君の彼氏だよね」
「…うん」
「最近さ、沖田隊長とばっかりいるよね」
そこまで言えば、彼女は泣きそうな顔をして俺を見つめた。
「待って、ごめんなさい……別れるなんて言わないで…っ」
「え?」
「…ただ、退を試したかっただけなの……ごめんなさい、別れたくないの……っ」
ぼろぼろと大粒の涙を零しながら彼女は何度も謝る。嫌だ、別れたくないの、と繰り返しながら。
「ま、待って待って、俺はそんな話をしたいんじゃないよ」
そう言うと彼女は顔を上げた。ちゃんとよく聞いてね、と前置きする。
「俺、地味だし、ただの監察員だし、沖田隊長みたいにかっこよくないよ?…でもね、自分の彼女が他の男の所に行ったら、もう飽きられたかなって、思っちゃってね…」
なんで俺のところに来ないんだろうって、ちょっと嫉妬した、と続けた。すると彼女は驚いた顔になって。
「…せ、成功だ……」
「え?」
「退を試してたの…私が沖田さんと一緒にいたら、退はどうするのかなって。そしたら嫉妬してくれたなんて……ふふ、嬉しい…」
さっきの泣き顔はどこへやら。ふふっといたずらが成功した子供のように笑ったA。
「な、なんだぁ……俺に飽きたんじゃなかったのか……良かった…」
「飽きるだなんてそんな。私は何よりも退が好きだから……ずっと」
唐突にこんな発言してくるAがかわいくて、ずるい。俺の扱い方分かってるな、なんて感心した。感心してる場合じゃないけど。
「それ、ずるいなぁ……俺もAが大好きだよ。これからもずっと」
そう言って俺は、Aを優しく抱きしめて、額にそっと口付けを落とした。
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スピカ - もしかして桜ノ華って己龍の情ノ華から来てますか? (2020年3月23日 1時) (レス) id: 1ae63c8e97 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 松陽が風邪ひいた夢主を看病するってやつお願いします (2019年4月20日 13時) (レス) id: 1db7bd25ff (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん(プロフ) - ありがとうございます!!めっちゃいいです!! (2019年3月16日 7時) (レス) id: c5c9065943 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ華(プロフ) - ゆのんさん» 遅くなってごめんなさい!書かせていただきました!リクありがとうございました! (2019年3月16日 3時) (レス) id: 7f3516e8f4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん(プロフ) - 銀時が熱出して看病する的なやつできますか? (2019年3月12日 6時) (レス) id: c5c9065943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜ノ華 | 作成日時:2019年1月15日 21時