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ひとり【土方十四郎】 ページ29

結局は私の居場所なんてない。今まで関わってきた真選組、万事屋、その他のみんな…。昔も今も、ひとりぼっちなのは変わらない。屯所を抜け出して、走って、走って。探しに来れないような場所まで来た。


「人なんて信用するもんじゃない。いつ裏切られるかわからないもの」


満月に向かってそう呟く。空気は澄んでいる。


「__誰がお前を信用してないって言った?」


聞きたくなかった声がした。でも何故だろう。その声を聞いたら、涙が零れ落ちてきた。本当はこの声、聞きたかったんじゃないのか。


「誰が、お前は独りだなんて言ったんだ?」


その声は静かに続けた。私の瞳からは涙が溢れる。


「俺たち真選組は、万事屋の奴らは、お前と関わってきた奴らはお前のこと信用してるし、独りにさせてるつもりもねェ」


私に近付いて、まるで壊れ物を扱うかのようにそっと抱き締めた。彼の、少し香る煙草の匂い。


「大丈夫、大丈夫。お前は独りじゃねェ。独りになんてさせねェ。なんてったって、俺たち真選組がいる。それに、万事屋のやつらもいる。だから……」
「……あ、りがと…」


優しく背中を撫でながらそう言った彼。彼が言葉を切ったタイミングで、私は小さくお礼を述べた。届いたかどうかはわからないが。


「ん、どういたしまして」


あんな小さな声でも、届いていたようだ。


「ったく、勝手にどっか行くんじゃねェぞ」


少し身体を離して私の顔を覗き込み、額をこつんと合わせて、心配したんだからな、と言う十四郎。


「……うん」
「次、勝手にどっか行ったら土方スペシャル食わせるからな」
「…それはいや」
「じゃあ行くな。約束な?」


小指を差し出してきた彼。それに自分の小指をそっと絡ませると、指切りげんまん、と彼が呟いた。ふっと彼の表情が緩んで、つられて私も微笑んだ。







「お前には、やっぱ笑顔が似合うわ」

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作品ジャンル:その他
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苺みるく - 読んでて、めっちゃドキドキしました!これからも、応援しています! (2018年12月7日 21時) (レス) id: d9dead7c75 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ華(プロフ) - 土方美夏さん» もったいないお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願いします*_ _) (2018年12月3日 21時) (レス) id: 7f3516e8f4 (このIDを非表示/違反報告)
土方美夏 - ありがとうございます!素晴らしかったです!これからも頑張ってください! (2018年12月3日 20時) (レス) id: db9e24e33f (このIDを非表示/違反報告)
土方美夏 - ありがとうございます! (2018年12月3日 17時) (レス) id: db9e24e33f (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ華(プロフ) - 土方美夏さん» リクエストありがとうございます!わかりました、書かせていただきますね! (2018年12月2日 23時) (レス) id: 7f3516e8f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜ノ華 | 作成日時:2018年11月18日 18時

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