第33話 怒りの対決 ページ35
「そうだねえ……妖刀の事は、授業の妨げにならない程度に手伝ってもらうよ。」
「はい、承知致しました……で、では、失礼します……。」
「頑張ってね〜☆」
「何かあったらすぐ教師に言うんだぞ。Aたん。」
そう言われると、Aは軽く会釈をして理事長室を出た。
そして、クラス分けテストに向けて、先程荷物を置いたロッカーに戻ったのだが、
「あれ……?狩衣が、ない………?」
そんなはずはない。出る前に何度も確認したのだから。
「あんたが、葛城A?」
後ろから急に声をかけられて、驚いて振り返ると、Aの周りを数人の女子が取り囲んでいた。
生まれてこのかた女子に囲まれた経験はなく、Aは思いっきり肩を震わせていた。
「は、はい……そうですが………あ、もしかして鸕宮家の御息女の方ですか……?」
「あら、よく分かったわね。」
グループの中心らしき女子の制服には、鸕宮家の紋章が刻まれていた。
その周りにいる女子の制服にも、鸕宮家の傘下の家の紋章がちらほらと見える。
ちなみに、Aの制服にも、鸕宮家の紋章が刻まれているのだ。
「貴方、不法侵入者のくせに鸕宮家の紋章をつけるなんて何様のつもり?」
グループの鸕宮家の傘下の家の子女のひとりが言った。
Aは女子が出す特有の黒い空気の中で、たしかに………と思った。
「そうですよね。外した方が良いなら外します。」
そう言うと、Aは紋章を剥がそうとする。もちろん外れるわけはない。
女子達は予想外の反応に口を開いたままだ。
「はっ、そんなことで騙されると思う?この恥知らず!どうして、分家の私ではなく、貴方なんかが本家でのうのうと生活しているのよ。血も繋がらないくせに…………!」
「いや……決してのうのうとは…………。」
「なに!?」
「いっ………いえ!」
「これだから本土の人間は。この島に不法侵入してくるぐらいなんだから、どうせ親もロクな人間じゃないのね。本家の人達から聞いたわよ?貴方、捨てられたんでしょ。アハハッ!やっぱりロクな家庭じゃなかったのねぇ。……………貴方みたいなのを育てるなんて、頭のおかしなヒトしかできないわよぉ、キャハハッ!」
残酷なほど声高らかに笑う女子達に、Aの心の奥で、なにかが切れた。
「…………………な。」
「え?何?」
「取り消せ。私を育ててくれた人を、嘲笑うな…………!!!」
Aの目は、怒りに染まっていた。
43人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時