第26話 夢の中で ページ28
久し振りに夢を見た。
まだ幼くて何も知らなかった時の自分の姿を映した、夢。
物心つく前から私の記憶にあったのは全て、おばあちゃんの姿。
おばあちゃんの神社の神前に、ある日突然捨てられていたのが私。
名前もなく、誰の子かもわからなかった私を、おばあちゃんは今まで育ててくれた。
泣けば、優しく抱きしめて背中をさすってくれた。
お腹が空けば、なんでも食べたいものを作ってくれた。
どんなに理不尽な理由で怒っても、おばあちゃんはいつも笑顔で接してくれた。
夢の中の幼い私は、いつものように泣いている。
「あらAちゃん、どうしたんだい?」
「おばあちゃん……ぐすっ………どうして、Aには……ぐずっ……ママもパパもいないの…?」
「…………ママとパパがいなくても、Aちゃんにはおばあちゃんがいるじゃないかい。」
「………Aは、ママとパパにすてられちゃったの……?ママとパパは、Aのこと、きらいだったの………?」
嗚咽を漏らしながら言う私を見て、おばあちゃんは私を抱きあげた。
「ママとパパなんかより、おばあちゃんの方が、ずっとAちゃんを愛しているよ。おばあちゃんが、ずうっとそばにいてあげるからね。」
絹を撫でるように優しい声音で言いながら、おばあちゃんは私の背中を撫でる。
そうして、泣いては慰められを繰り返して、私は幼少期を過ごした。
おばあちゃん……………誰よりも、愛してるからね……………
夢の中で涙が止まらなくなると、景色が急にぼやけ始め、頭の奥で別の誰かの声が響いた。
『……………………強くなるまで、守ってやるから………!』
そこで、Aは目覚めた。
目に飛び込んできたのは、真っ白な天井。漂ってくるのは、薬品の匂い。
そこは病院の一室だった。
「ここは……………?」
「やあっと起きたねぇ。Aちゃん。待ちくたびれちゃったよ〜」
声のする方を見ると、私のいたベットの横に、一人の男性が座っていた。
「貴方様は………………陰陽頭様……!?」
一度だけ資料で見たことのあるその顔に、Aは驚く。
「はっじめまして〜☆Aちゃん☆土御門有馬だよ〜☆」
全ての陰陽師を束ねる陰陽頭とは思えないほど軽い態度に、Aはさらに戸惑う。
「やだなあ、そんな警戒しなくたって、何もしないよ〜☆」
「………あの、陰陽頭様……今日は、どのようなご用件で………?」
有馬は、すっと顔色を変えた。
「それはね………………。」
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時