第27話 病室での会合 ページ29
「それはね…………。」
先程までとは一転して鋭い目つきになった有馬の様子に、Aはごくりと唾を飲んだ。
「君、学校に行く気はあるかい?」
こてん、Aが転んだかのように首をおとす。
「ふふ、驚いたかい?君、まだ16歳なんだろう?普通なら、高校生ってことだよねえ。」
有馬の問いにAは頷く。
「この島には、青陽院という陰陽師育成用の学校があるんだ。君にも、そこに通ってほしいんだけどなぁ。」
「は、はい…………。」
有馬はAが反論もしないのを見て満足そうに微笑んだ。
「じゃあ天馬には僕から伝えとくね☆」
しかし、Aは考えていた。
まさか、あの陰陽頭がこの程度のことを伝えるためだけにわざわざここに来たのかと…………
「ありがとうございます…………あの、陰陽頭様、本当にそれだけを言いに来たのですか?」
有馬はそれを待っていた、とでも言いたげに目を細めると、Aの傍に立て掛けてあったAの愛刀"澪紅璃"を指差した。
「よく分かったね。じゃあ本題だけど……………君は、この妖刀をどこで手に入れたんだい?」
「それは………、育ての親が亡くなった時、親から譲り受けたんです。」
「育ての親?じゃあつまり君は……………。」
Aは毛布を握りしめ、俯いた。
「…………神社の神前に捨てられていました。生みの親はわかりません。」
「そうかい…………すまないね。」
有馬が申し訳なさそうに目線を逸らす。
「いいえ。………………それで?話の続きはなんでしょうか。」
「ああ、そうだね。天馬から聞いたと思うけど、この島にも妖刀は何本かあるんだ。」
「はい、存じております。」
「妖刀は、まだ情報が少ないんだ。そこで、君の守護者なら何か分かるんではないかと、僕個人の見解として考えているんだけど…………………。協力してもらえないかい?」
(いいですよ。私は。これで、貴方と陰陽連との決定的な繋がりができるのなら、Aの為に、私も力を貸しましょう……………………。)
心の中に私の守護者である宇迦之御魂、ウカミの声が響いてくる。
「ウカミ…………いいえ。宇迦之御魂は"良い"と言っております。」
「君は、守護者の声が聞こえるのかい……………?」
有馬が驚いたような顔で尋ねてくる。
「………?はい、よくお話したりしますけど………。」
その時、病室のドアが勢いよくバンッッ!!!と開いた。
「A………………!!」
立っていたのは、天馬だった。
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時