第45話 試験内容 ページ47
早百合を別れた後、狩衣に着替えて試験場に入ったAが見たのは、体育館中に張り巡らされた無数の的と、中心に立つ有馬の姿だった。
「やあ☆早百合くんとのお話はすんだかなっ?それじゃあ試験をはじめちゃうよ〜☆」
「あ、有馬様……これは…?」
「ああ、この的のことかい?これはねえ、君専用に作ったんだよ☆」
得意げに笑う有馬とは対照的に、Aはただ驚いていた。
「な、なぜ私だけ別の審査方法なのでしょうか………?」
「それはねえ、僕個人として君の呪力……いや、宇迦之御魂の呪力を見てみたいからなのさ☆」
「は、はあ………」
どうやらこれは、私の、いや……ウカミの呪力を量るのと同時に私の陰陽師としてのセンスを見るものなのだろう。
「審査方法は簡単☆時間内にこの的全てを撃ち抜く、または斬り裂いてくれたまえ☆」
「え、そんなのでいいんですか……?もっと学力とか実戦力とかは……」
「ああ、それは全然大丈夫だよ〜☆鸕宮家に聞く限り勉強はかなり優秀らしいじゃないか☆」
有馬は問題ないとでも言いたげに手をヒラヒラさせる。
「それに、ただ的を捉えればいいってもんじゃあないからね☆ちゃんと"規則"に従うんだよ〜」
そう言うと有馬は試験場から出て行った。どうやらモニターか何かでこちらの様子を見るらしい。
Aは刀と霊符を構えた。と同時にブザーが鳴り響き、審査の開始を告げる。
「み恵みを受けても背く敵は、篭弓羽々矢もてぞ射落とす!裂空魔弾!急急如律令!」
Aは最近覚えたばかりの技の名を高らかに叫び、放っていく。
修行の成果も出ていたのか、どの弾も的に命中した。
しかし、「やった!」と思ったのも束の間、命中したはずの的は赤く光り出して形を変えた。
「なに……?これ………」
Aの目の前に現れたのは、小さなケガレだった。
《ほら言ったじゃないか〜、"規則"を守るんだよ。間違った的を射れば、術が発動して的がケガレになっちゃうからね〜☆偽物のケガレだけど。》
試験場のスピーカーから有馬の声が聞こえてくる。
どうやらこの試験は、"制限時間内に何かしらの規則に従って的を射る"ものらしい。
今目の前に現れた偽物ケガレは五体、私が撃ったのは6発…………ということは!
Aが試験場を見渡すと、一つだけ青に輝き文字が現れた的があった。
【一ノ的】
的にはそう書かれていた。
これは……的を"順番に射る"試験なのか!
迫り来る制限時間の中で、Aはひらめいた。
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時