第38話 当主の判決 ページ40
「言わせてみれば…………彼女にその意思がなかったとしても、陰の気に取り憑かれるなど……本人の実力の無さからだろうが!どちらにせよ…早百合殿の責任だと思うが!?」
とある傘下の家の当主がそう言った。早百合はまたも肩を小さくして震わせる。
「では、貴方は………陰陽頭様ですら取り除くのに苦心した呪詛をはね返せるというのですか!?」
普段はまるで自分の意見を言えないAは生まれて初めてというぐらい、正面切って大人達を言い伏せようとしている。
「ふ………ふん、そんなもの、言い訳にもならんわ!子供になにが分かる!?」
大人達は、ずるい。
いつも苦しくなった時は、「子供のくせに」と上から目線で意見を捻じ込ませる。
おばあちゃんの周りにも、そんな大人ばかりだった。
嫌な記憶が脳裏に浮かび、Aは拳を強く握りしめる。
「そうやって…………逃げるんですか!?」
苦々しい声が出た。それに相手はいよいよ激昂した。
「なんだと!?この………………」
「そこまでだ!黙れ。キツネ子、とハゲ清!」
言葉を発したのは、天馬だった。
「ハゲキヨ…………!?」
コンプレックスだったのか、相手の鸕宮家傘下の当主は固まっている。
天馬はそんな様子を毛ほども気にせずに判決を言い渡す。
「今回の一件は…………あの娘に呪詛をかけた奴が悪い!よって、処罰なし!」
『え、ええええええええッッ!?』
幹部や当主達が揃って声を上げる。当の早百合は固まったままで、Aだけは、やった!と笑顔を浮かべていた。
「よろしいのですか!?鸕宮の沽券に関わるものでは……………?」
また別の当主が言う。しかし天馬は既に退場しようと席を立っていたので頭をぐりんと向けながら言う。
「本人にその意思はなかった。なにより、襲われたキツネ子がこの通りだ。俺達はなんも言えねえだろ。違うか?んん?」
睨みつけるようにして言った天馬に、それ以上は誰もなにも言わなかった。
こうして、鸕宮家総出の会議は、一人の少女の登場によって、幕を閉じたのだ。
早百合が声を上げて泣いていたのを、Aは優しい眼差しで見ていた。
「陰陽頭様!………この度は、どうも、ありがとうございました………!」
廊下でAは深々と頭を下げた。
「いいよ〜☆気にしないでって言いたいトコだけど〜………Aちゃんにはお礼として頼みたいことがあるなぁ〜☆個人的に〜☆」
「どうぞ、なんなりとお申し付け下さい!」
「それじゃあ〜………」
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時