(7/21記) ページ7
帰ったりするはずはないと分かっていても、ほんの数分席を立たれるだけで不安になるのはミヒャエルの悪い癖だ。自分はもう五、六年は家族と連絡を取っていないし、お互い相手の連絡先も知らないから心配して鬼電、なんて出来ないけれど、言われてみれば澪の兄の気持ちも分かるような気がする。といっても、総合的に言ったらやっぱりヘンで。でもそれが少し羨ましい。
十分くらいすると、少し疲れた様子で澪が戻ってきた。
「何っテ?」
「ん〜、まあいつも通り……。誘拐には気を付けなさい、みたいな? もうそんな歳でもサイズでもないんですけどね……」
「俺いるんだからサ、『信頼できる大人と一緒にいます〜』とカ! ……ア、俺なら抱えて誘拐出来るかナ」
「そういうこと言う大人は信頼できな、てか二つ違いじゃないですか。……あ、インプタ見られてましたよ」
「ヤッパリ? 怒ってタ?」
「怒ってたってか……、僕のは供給だって喜んでましたけど。ミヒャ……さん、は、……チャラいって」
「アハハ、ヒド〜! まあ俺髪半分めっちゃピンクだもんネ」
すっかり冷めてしまったパスタにまたフォークをつける。電話に出ている間に、ミヒャエルのパフェはすっかり透き通ったグラスだけになっている。ミヒャエルは知らないのだろうけど、推しを目の前にして、自分が昼食をとっている絵面はなんだかシュールで、だからといってどうしょうもない。ちゃんと喋れていたのだろうか、なんて今更挽回のできないことばかり頭に浮かんで来る。
「写真撮っていイ?」
「……ダメです」
「この後デザートとか頼ム?」
「頼ま、ないです」
「ア、良かっタ。もう会計済ませちゃったんだよネ」
「え」
澪がついフリーズしたのに、ミヒャエルがまたアハハと笑う。勝手な人だ、なんて少し思う。それも、今度はこっちのことを考えて勝手に行動しているんだから、まさしく「大型犬」だ。リードを掴んでいてもグイグイ引きずられていくけれど、引きずり回されて最後どこへ着くんだろう、と少し気になってしまうんだから不思議だ。
「ア、お金返しても受け取らないの分かるよネ。てかこの後どっか行ク?」
「えぇ……。えっと、この辺一応大きいゲームセンターがあって。……ミヒャさんが良ければ」
「全然良いヨ! 俺サ、ゲーセンってこウ、……ちゃんと遊んだことないナ……」
ボンヤリと遠くを見るような目元に少し気を取られる。ふと気付いて、最後の一口を口に入れ、噛んで飲み込む。
「行こっカ!」
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和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!!更新いたしました!本当に申し訳ございませんでした! (2022年9月20日 13時) (レス) id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - アルフさん» ワ、ありがとうございます! 和癒さんの澪くんは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/2nayu2/】、うちのミヒャエルは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kokoridora6/】にCSがあります…! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 和癒さん» 全然!! 私も最近学校の部誌作るのでてんやわんやしてて… 来週までには落ち着くのでそしたらまた書きます! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
アルフ - すみません、、とても面白かったのですが、出演しているキャラクターの設定などはありますか?いきなり質問すみません! (2022年8月2日 10時) (レス) @page21 id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!! (2022年8月2日 8時) (レス) id: f702b299fb (このIDを非表示/違反報告)
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