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朝が来ない世界ならば― (70) ページ21

―――沈黙が流れる。

 何故か話はそこで区切れ、誰から話し出そうかと

 多分、それぞれにそう思っている。

 もちろん、ここで口を割るのは

 僕しか居ないだろう。

 「ところで、1つ相談があるんだけど。

  良いかな?」

 「「………」」

 ―――え。

 なんで黙り込むの?

 突然過ぎたかな??

 「あ、いや…良いですけど」

 「まあ…言ってみろ」

 何この気まずい雰囲気…

 「え、あ、じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて…」

 動揺して敬語になってしまったじゃないか…

 全く、誰のせいだと…?

 …あ、自分か。

 「この場所にさ、名前付けない?

  ほら、『あの崖』って呼んでても

  伝わりにくいし」

 ずっと思ってたんだ。

 何となくここはエクライデアルにとって、

 少なくとも僕にとってはこれからも大切な場所に

 なるような…そんな気がするんだ。

 「ほほう…考えましたね、木綿。

  あなたは天才だっ!

  ちなみに僕も丁度それ思ってた」

 「いや、何を根拠に天才…」

 時雨は時々馬鹿になるよな。

 特にこういう真剣な時に。

 思わず小声でツッコんでしまったぞ。

 「災厄の場所」

 所縁が呟いた。

 「へ?」

 「だから、私にとってはあの占いの結果を

  伝えた場所だから、災厄」

 「いや、知らんがな」

 対して所縁は真面目過ぎるが故にひとつひとつの

 意見が重々しい…

 「もう少し気楽に呼べて、エクライデアルの

  憩いの場になるような名前はないのか?」

 「はい!はいはーい!」

 「何だ、時雨」

 「"エデン"ってのはどうでしょうか!」

 あぁ…なるほど。

 「"エデン"って、あのアダムとイブが

  暮らして居たとされる楽園のことか」

 僕がそう言うと時雨は首を元気に縦に振りながら

 「そうそうそう」と言った。

 「良いんじゃないか?"エデン"

  これから何が起ころうがここだけは幸福に

  包まれていそうな名だ。

  それに、ここに来ると何だか気分が晴れる」

 所縁が静かに意見を述べる。

 「じゃ、決定で。

  他のメンバーにも伝えておいてくれ。

  …済まなかったな、話を反らして。

  では、話を戻そうか」



 「そんな…ことが……

  所縁にも何が起こるか分からないなんて」

 ―――あれから時雨に"アクシデント"についての

 今ある全ての情報を話した。

 「何が起こるか、それは時雨に見つけて

  貰いたいんだ」

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:雨音 時雨 | 作成日時:2021年5月17日 23時

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