病弱だって飛び出せる。〈トウヤ〉続き ページ4
「まだだめだよ、トウコは今ついでに怪我の手当てされてるから…」
そういってトウヤは私の体をベッドへと倒した。
重たい空気が少し流れていたが、トウヤの優しい声がそれを破った。
「さっき、メイとキョウヘイって子に会ったんだ」
トウヤは、「Aも知ってるでしょ？」と付け足してそう言った。私が少し小さく頷くと、トウヤが握る手に少し力が入った。
「その子たちから聞いたんだ。ずっと……ずっと探しててくれたんだね…」
トウヤの優しい声色が震えていて顔を覗き込むと、涙を流していた。どうして泣くのかは私にはわからなかったけれど、悲しんでいたのは理解できた。
『どうして泣くの？』
私はそういって、空いている方の手でトウヤの涙を拭った。
「だって、…たくさん怪我して、無理して倒れて……熱だって出して………そうなること、わかっていたはずなのに…僕たちは自分勝手で…」
『そんなこと、ないよ』
私がそういって、今できる笑顔を彼に向けると、彼も優しく微笑んでくれた。
「でも、どうしてAは逃げたの…？」
トウヤのその言葉は、私の胸に深く深く突き刺さった。一番聞かれたくないことだ。
『わ、…私が……っ、何を言っても嫌わない…？』
少し涙を目にためて問うと、トウヤは私の頬を撫でて「嫌わないよ」と言ってくれた。
その言葉に安心し、ゆっくりと、自分のペースで口を開いた。
『あのね、……ふたりがなか良さそうに笑ってるのみて…私の居場所はないんだなって…』
トウヤはすごく驚いていた。けれどすぐにその顔は苦笑いに変わり、私を抱き締めた。
すごくすごくあったかくて、心地いい。
「そんな思わせてたのはごめん。でもね、トウコも僕も、ただAが好きなだけなんだ」
私を安心させるように握られていたその手は、いまだに握られており、指を絡ませられている。
「ね、好きだよ。ずっとずっと…ね」
そうトウヤは、寂しげに笑顔を見せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらたま(プロフ) - ひなさん» 読んでくださりありがとうございます〜💕今回はないようはどうとしてかなりの傑作だったのでそういってもらえてうれしいです！🎵😍🎵 (3月25日 12時) (
レス) id: a300713acd (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 更新ありがとうございますー！！サンくんと夢主ちゃんのやりとり微笑ましくてかわいいです、、😘😘 (3月25日 11時) (レス) @page13 id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - しらたまさん» ありがとうございますー！！！無理せずに頑張ってくださいね...！！！ (3月3日 1時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
しらたま(プロフ) - ひなさん» 了解致しました〜！お待たせしてしまうかもですが、必ず書かせていただくので待っていてください！ (3月2日 10時) (レス) id: a300713acd (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - しらたまさん» こちらこそですー！！ テスト期間中に申し訳ないのですが...メイちゃんかファイツちゃんのお話が読みたいです...ほんとに手が空いて気分も向いたらでいいのでお願いします...最近気候の変化が激しいのでお身体には気をつけてください...！ (2月29日 23時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しらたま | 作成日時：2023年10月5日 21時
