【文スト】フェロモンを君に【太宰治】

三十八香 ページ41

翌日学校へ行くと周囲からはまず可哀想だと云う憐れむ目を向けられた。

然しニュース等で次第に少女の家柄が出てくると、今度は批難の目に変わっていった。

周りからは中どころのない感情を向けられる楊になった。

教員は知っていたが、止めなかった。

何故？


"私は犯罪者の娘だから"


彼女は諦めていた。

それと同時に開き直っていた。

私は犯罪者の子。

誰も私を可哀想とは思わない。

誰も私には感情がないと思っている。

なら、一人で生きれば良いじゃないか、と。

一人で生きれば私も辛くない、誰にも迷惑なんか掛けずに誰も私を批難することはない。

私は一人になった。

学校を中退するその日、友人だった人に少女は云われた。


＿＿＿「あんたなんか誰も必要としないわ。可哀想な独りぼっちの室生さん？」


皮肉気味だった。

然し少女は気にもとめなかった。

そして少女は、組織の残した金で小さなアパートを借り、ひっそりと過ごしていた。

少女の顔はもう全国に出ているため、働くことは困難だったのだ。

然し、また此処で問題が起きたのである。

それは異能力。

少女はこの異能によって一人で生きることが出来なくなったのである。

好き好んで、こうしないと辛いから、自ら一人を選んだ所なのに。

人の生気を吸いとらなければ生きていけないだなんて。

少女は再びどん底へと堕ちていった。

一人になったら死ぬだなんて。

少女は再び一人が嫌いになった。





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