三十六香 ページ39
暫く伯父様の部屋で四人で話してから、私と太宰さんは彼の執務室へと戻ってきた。
そんな某時刻の噺である。
私は、独りが好き。
だけど、独りが怖くて嫌い。
矛盾しているなんて事は、とっくの昔から承知である。
別に、昔何か恐ろしい経験をしたと云う訳ではない。
だが、私の記憶から離れない"両親"の噺をさせて欲しい。
___そう頼むと太宰さんは静かに頷いた。
母は父の率いる組織の一員であった。
つまり父は組織の長、そして母はその秘書であった。
そんな立場の関係からか、彼らは自然とお互いに惹かれ、気づけば彼らは永遠の愛を誓っていた。
その後彼らは組織を率いり乍、一人の娘を授かる。
大まかな顔立ち、雰囲気は母譲りであり乍も、時折見せる柔らかい微笑みには父の面影もある。
少女は組織の組員からも、色々な人から愛を注がれ健やかに育っていった。
組織は家族だった。
家族は組織の皆だった。
そんな少女だったが、実は家柄を隠しながら"普通に"学校へと通っていた。
小学校の行事には組織全員が彼女の姿を微笑ましく見守って、彼女が悩めば組織全員が彼女を支えた。
幸せだった。
明るく常に笑顔な彼女は友人にも恵まれた。
ただただ幸せだった。
この幸せが当たり前だと感じていた。
でも、やっぱりそんな上手い噺はなかった。
少女が中学校へ上がった頃、組織は或る問題に直面していた。
周辺の組織の一体化。
或る大きな組織が力を強めだし、周辺の組織を傘下へと入れだしたのだ。
組織の名は「ポートマフィア」。
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過去篇です。
長々と続きそうな予感。
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ゆら(プロフ) - 棒緑カエル軍曹ってあれですよね!?あれ私も大好きです!! (2023年2月16日 20時) (レス) @page45 id: 9fa1b4957f (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - イージストさん» ご意見ありがとうございます。えと、少し考えてみます笑私もこの作品が好きなのでそう言うような形で続けられれば嬉しいですし。 (2019年2月27日 16時) (レス) id: 311cf89819 (このIDを非表示/違反報告)
イージスト(プロフ) - これの中也バージョン見たいかも (2019年2月27日 15時) (レス) id: d35fbbbafd (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 博識のうさぎ(仮)さん» これからも、様々な小説で陰ながらこっそりと拝見させて、応援させて頂きます! (2018年12月10日 22時) (レス) id: 09928c8e9d (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - サキさん» ありがとうございます!更新頑張ります!こちらこそここまで読んでくださりありがとうございました! (2018年12月10日 20時) (レス) id: e5b267ef9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:博識のうさぎ(仮) | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月14日 9時