一香 ページ3
『どう云う事ですか！？』
「いや、落ち着いて。説明するから…。」
部屋に私の荒々しい声が渡る。
机に両手をつき、前のめりな姿勢となる。
目の前の人間が困惑、動揺しているのにも関わらず、私の頭は其を上回る困惑で、配慮をしている暇がない。
『私は伯父様で十分だと前にも云った筈です！』
「いや、あのね？君、最近体調が優れていないでしょ？」
目の前の椅子に座るのは、森鴎外と云う名の、私の伯父である。
私はその隣に立っている少女に目を移した。
『エリスちゃんも何か云ってよ！』
「Aを苛めるなんて赦せないわ！」
「え、えぇ……。」
すると一気に表情が崩れた伯父様。
エリスちゃんはタタタッと私の隣に来て、抱き着いてくる。
そしたら再び崩れる表情。
『私は伯父様の分で十分です！そんな、身も知らぬ、しかも組織の幹部様にだなんて身を預けられません！』
「そ、そんな重い事ではないんだけど……。
…と云うか、話を聞いてくれないかい？
ちゃんと納得のいくように説明するから…。」
『厭です！』
「真逆の！」
伯父様は頭を抱えた。
私はエリスちゃんを抱き締め返した。
私と伯父様が云い合うと、どちらかが折れるまで続いてしまう。
暫く続く沈黙を、清々と斬ったのは、私に抱き着いているエリスちゃんだった。
「…A、本当はしんどいんでしょう？」
幼い声ではあるも、心配しているような、不安げな声音である。
私は首を横に振った。
『……別にしんどくない。』
「嘘よ。貴女、今だって躯が熱いわ。無理をして倒れたって困るのよ？」
『…暑いだけだもん。』
私は首を縦に振らない。
伯父様もエリスちゃんも、段々と顔が心配気になってきている。
勿論、熱い理由は私は勿論、伯父様とエリスちゃんも知っている。
「……リンタロウの話、悪くはない筈よ。
あの中年、Aの事になったら頑張るんだから。」
「…太宰君は、良好物件だよ。」
伯父様の顔を盗み見るように、一瞬だけ顔をあげる。
その表情は、ふわりと微笑んでいた。
『エリスちゃん……。』
私に向かって、向日○のような笑みを向ける少女に、思わず涙が出そうになる。
右手で彼女の頭を撫でる。
すると途端、後ろの扉が開いた。
ゆっくりではなく、勢いよく、バンｯと荒い音を立てて。
.
「疲れた……って何？この雰囲気？
あ、帰っていい感じ？失礼しましたァ〜。」
「「待ちなさい。」」
「ちぇっ。」
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ゆら(プロフ) - 棒緑カエル軍曹ってあれですよね！？あれ私も大好きです！！ (2023年2月16日 20時) (
レス) @page45 id: 9fa1b4957f (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - イージストさん» ご意見ありがとうございます。えと、少し考えてみます笑私もこの作品が好きなのでそう言うような形で続けられれば嬉しいですし。 (2019年2月27日 16時) (レス) id: 311cf89819 (このIDを非表示/違反報告)
イージスト(プロフ) - これの中也バージョン見たいかも (2019年2月27日 15時) (レス) id: d35fbbbafd (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 博識のうさぎ(仮)さん» これからも、様々な小説で陰ながらこっそりと拝見させて、応援させて頂きます！ (2018年12月10日 22時) (レス) id: 09928c8e9d (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - サキさん» ありがとうございます！更新頑張ります！こちらこそここまで読んでくださりありがとうございました！ (2018年12月10日 20時) (レス) id: e5b267ef9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：博識のうさぎ(仮)
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月14日 9時
