#173 大人編 ページ28
＊
「な、な、な、なんでここに…」
言葉が声にならず、ハクハクと口を動かして、目を点にする緑谷。
彼がこうなったのには、3時間前に遡る。
3時間前
公安のゼロから頼まれた任務を遂行すべく、緑谷は新年ながらも空港へやってきていた
詳細は全てメールで記載されており、もう既に確認済みだ。
ホークスは活動拠点が福岡のため、東京では緑谷が面倒を見る。
途中、福岡に用があるらしく、その時はホークスにバトンタッチすることになっていた
飛行機が着くまでまだ時間があるとはいえ、特にすることも無い緑谷は最近の疲れを癒そうと空港内をのんびりと歩いていた
するとそこに、よく見知った顔が現れた
「緑谷…？どうしてここにいるんだ」
「轟くん！？君こそどうしてここに…」
目立つ紅白頭の彼は、驚いた顔をして緑谷を見つめている
「俺は任務があってな。緑谷は旅行か？」
「僕も任務だよ。それにしても奇遇だね、こんなところで会うなんて」
「そうだな。まさか俺もここで会うとは思わなかった」
お互いに時間があることを確認し、近くのお店で話すことにした
「そういや緑谷、アメリカで任務だったんだろ？Aについて、何かわかったことはあるか？」
「実は…… 僕、Aちゃんに会ったんだ」
緑谷は、まだ誰にも言えてなかったことを口にした
「！？ Aにか？いつ、どこで…！？」
「お、お、お、落ち着いて轟くん。アメリカで任務中、屋上であったんだよ。何か言いたそうだったんだけど、結局何も聞けなかった」
「そうか… でも、Aはアメリカにいるんだな？」
「多分そうだと思う。拠点を頻繁に変えてる可能性もあるけど、ヒーローコスチュームを着てたし、アメリカに留まっていることは確かだと思うよ」
「それで… そのことは爆豪には伝えたのか？」
「まだ、かっちゃんには伝えられてない。」
その覚悟がない、と緑谷は轟に呟いた
「覚悟…？なんの覚悟だ？」
「かっちゃんは、無理にAちゃんを探して欲しくないって言ったんだ。もちろん、本音を言えばかっちゃんが1番会いたいだろうけど、Aちゃんが帰ってくることを信じてたから。最終的には勝手にしろ、って言われちゃったけど」
「つまり、爆豪に会ったことを伝えると、引き止められなかったっつうことも伝えなきゃならないってことか」
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作者名：レモネード x他1人 | 作成日時：2022年5月4日 18時
