いつか、絶対に。【進撃の巨人】 (ページ50)

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…き、緊張した…！！

　会議室を出て、思わず大きく伸びをした。

　
　幹部の人達は、みんなきりっとしていて、かっこよくて…

　でも、少しだけ怖かった。

　やっと両腕を広げて息が吸える様な気がして、暫く出口の近くに立ち尽くしていると、肩を叩かれる感覚がして、振り向く。

　栗色の髪を真ん中で分けて、優しそうな顔をした…たしか、モブリットさんがその場に立っていた。

　
　「お、お疲れ様です」

　だらしなく広げていた腕を急いで閉じて、背筋を伸ばす。

　
　こんなところ見られるだなんて、恥ずかしい…！！

　「そんなに緊張しなくて大丈夫だよ」

　ふふ、と、目元を優しく緩めたような笑顔が印象的だった。

　「初めての幹部会だよね。緊張した？」

　「はい、とても…」

　そう答えると、モブリットさんはまた優しそうな顔をした。

　
　「うん、最初はそんなもん。でも大丈夫、徐々に慣れていくよ」

　「だといいんですが…」

　会議室を続々と出ていく、先輩兵に目をやる。

　…みんな、かっこよくて、きりっとしてて。

　
　いつかあんな風になれるのかな。

　ていうかそもそも…あんな風になるまでに、巨人に食べられちゃうんじゃないか…。

　そんな不安がぐるぐると、脳内を支配し出した。

　「…大丈夫？」

　気づけば、心配そうにこちらを覗き込むモブリットさん。

　「っわ、だ、大丈夫です！！」

　思わずびっくりして後ずさると、背中に硬い感覚。

　だれかにぶつかっちゃった！

　
　「わ、ごめんなさいっ」

　急いで振り返ると、そこにあったのは…ただの壁だった。

　
　「え、壁、人じゃない」
　

　焦りすぎて軽くパニックになっていると、モブリットさんがくすくすと笑った。

　
　「焦りすぎだよ」

　優しそうに目尻を下げて笑う姿に、思わず恥ずかしさが込み上げる。

　「わ、笑わないでください…！」

　「ごめんごめん、面白かったから」

　はぁ〜笑った、と言いながら、モブリットさんは私の右肩に手を置く。

　「何かあったら言ってね。いつでも聞く。同じ分隊長補佐として。」

　髪の毛とおなじ、優しい栗色の瞳に目を奪われる。

　「…ぁ、ありがとう、ございます…」

　やっとの事で絞り出した、蚊の鳴くような声は、モブリットさんに届いただろうか。

　聞こえたのか聞こえなかったのか、モブリットさんも"またね"と言って歩き出す。

　…暫くぼうっと立っているのをリヴァイに見られて、頭がおかしくなったのか？と言われたのは、言うまでもない。