# 46 ページ48
「これより、新幹部の任命式を開始する。」
団長の、引き締まった声が訓練場に響き渡り、整列した兵士たちは一斉に敬礼をした。
マリア陥落から、約1ヶ月。
陥落直後の、重々しくて最悪な空気は、少しずつだけど確実に緩和された。
そして、兵たちの巨人に対する憎しみはたぶん、増していった。
次の壁外調査を、今か今かと待ち望む兵も、少なくはない。
「第一分隊長、ミケ・ザカリアス。」
少しだけぽけっとしていると、ミケ分隊長が呼ばれ、前に出る。
背筋を伸ばす。
「第一分隊長補佐、A・セルビター。」
大丈夫、大丈夫。
少し震える足を動かして、ミケ分隊長の隣に立った。
「第二分隊長、ハンジ・ゾエ」
今までに見たことがないくらい真面目な顔をしていて、思わず笑いそうになるがぐっとこらえる。
「第二分隊長補佐、モブリット・バーナー。」
モブリットさんはいたっていつも通り。
「第三分隊長、リーダ・マグワイナー。」
リーダさんはあまり話したことがないな…。
「第三分隊長補佐、クラース・リグ。」
クラースさんもあまり話したことがない。
「第四分隊長、マレイド・レベウス。」
マレイドさんは確か、あの日、医務室にマリア陥落を報告しに来た兵だった。
「第四分隊長補佐、ディルク・リンダ。」
ディルクさんは、壁外調査前、緊張している兵に声をかけていたのが印象的だ。
「そして、幹部の中に新たに"兵士長"を追加する。兵士長は、兵士全体の取りまとめや、特別作戦班の指揮を行う。兵士長、リヴァイ。」
何を考えているのか分からない三白眼が、すっと前に出てくる。
…恐らく、身長差がすごいんだろうな。
正面から見てみたい…。
「班長は、壁外調査の目的に応じて結成する。以上で新幹部任命式を終了する」
団長の声がまた響き渡り、敬礼をする。
兵士達が兵舎内へ帰っていく様子を眺めていると、団長が私たちの前に来た。
「10分後に幹部会を始める。会議室に集まってくれ」
団長はそう言い残すと、兵たちと一緒に去っていった。
それをみて私も動き出す。もう足は震えていなかった。
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作者名：来世は春菊 | 作成日時：2023年11月25日 23時
