いつか、絶対に。【進撃の巨人】 (ページ44)

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　「調査兵団の動向に関して、我々は主導権を握っていない！理由は単純だ、我々調査兵団が壁外調査で成果を得られないからだ！」

　団長の一声に、その場が凍りついた気がした。

　「我々が壁外調査に行くたびに、資金を無駄にし、兵を無駄死させていると、総統は判断なされた！」

　モーゼスさんや、あの男性兵、…イザベルやファーラン。あの人たちは、無駄死…？

　『人類の反撃の糧に…なったんですよね？』

　

　あの老母の声が、脳内を駆け抜けた。

　
　「我々は、何の成果も得られない！それが世間からの評価だ。我々には何の権限がないに等しいのだ！」

　
　「…我々には、待機命令が下されている。応戦が必要な場合はまた連絡が入る。それまで待機しろ」

　
　これにて解散、と言い残した団長が食堂を出て、兵が一人一人動き出す。

　
　皆の顔つきは、まさに"絶望"だった。

　
　私も、拳を強く握りしめて立ち上がる。

　こんなのあんまりだ…。

　まるで、私たちは、政府の家畜じゃないか…。

　毎回甚大な被害を出してばかり…？

　ずっと安全な内地にいるくせに、なにを…

　迫り来る薄笑いを思い浮かべ、思わず鳥肌がたつ。

　あんなのを前にして、正常で居られるわけ

　「おい」
　
　突然後ろから拳に手を添えられ、振り返ると、不機嫌そうなリヴァイがいた。

　「…なに。」

　「血が出ているだろ」

　
　そういわれ、拳を見ると、右手に三日月形の傷が4つ、ぷつりと血を流していた。

　途端に痛みを感じ、思わず傷を上から撫でる。

　「いたい…」

　「自分に対し力の加減を忘れるとはとんでもねぇな。ちょうど良い、今から医務室に行くだろ。そこで手当するぞ」

　そういうと、リヴァイは私の左手を引き、足早に廊下を歩いていく。

　私は、何もする気になれなくて、ただリヴァイに手を引かれるのみであった。