いつか、絶対に。【進撃の巨人】 (ページ43)

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　それから程なくして、兵舎の中で動ける兵士は食堂へ集められた。

　誰も、何も一言も発しない。

　私も、ただただ俯いて居ると、やがて団長と分隊長達が食堂に入ってきて、前に立つ。

　「これより、緊急兵団会議を開始する」

　心做しか、団長の声は震えているようにもとれた。

　「知らせの通り、つい先刻、ウォールマリア南方のシガンシナ区が、突如現れた超大型の巨人により破壊された。」
　

　やっぱり、兵の報告に嘘はなかったんだ…。

　ちらりと食堂内を見回すと、大抵の兵士は血の気の引いた顔でいた。

　
　「そしてその後、シガンシナ区とマリアを隔てる門扉の部分も、全身を何かで覆われた謎の巨人により破壊された。つまり、ウォールマリアは突破された」

　ウォールマリアが、突破…。

　さすがに何かの冗談だろうと思っていたが、団長の声色を聞く限りそうでも無さそうだった。

　すると、1人の兵士が手を挙げる。カイさんだ。

　
　「シガンシナ区の住民は…。マリアの住民は、避難は完了したのでしょうか」

　
　声と同様、挙げられた指先までもが震えていた。

　「…完了していない」

　団長の一声に、沈黙が密かに破られる。

　それもそのはず…。兵の中で、マリアから来ているものは決して少なくはないからだ。

　「では…。我々も、応戦せねばならないのでは無いですか？」

　カイさんは、青白い顔のまま続けた。

　
　「…いいや。我々は、今朝の壁外調査により甚大な被害を受けている。よって、応戦すべきでは無いと総統が判断した」

　団長の眉間の皺は、依然として深いままだ。

　
　「っそれは！おかしいです。駐屯兵や憲兵は、巨人に対する実戦経験が不足します。ここは我々調査兵団が」

　
　「総統のご判断だ、従え」

　「なぜっ…」

　カイさんは悔しそうに拳を机に叩きつける。

　それをきっかけに、他の兵士たちも不満を口にしだした。

　「私たちが動かなくて、誰がやるんだ…」

　「家族が…。助けにいきたい、せめて安全かどうかだけでも…」

　それらは全て、故郷の家族への思いで溢れていた。

　
　やがて、1人の兵が挙手する。

　ハンジ分隊長の班の班員だった。

　「こんなの、おかしいです。我々にも応戦する権利はあるはず」

　「うるさいっ！！」

　
　団長の、威圧感に溢れる声が食堂内に響き渡り、沈黙を作る。

　緊張感が張り詰めた。