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「報告は以上か」
「以上です。」
キースの報告を聞いたザックレーは、静かに目を閉じ、机上で腕を組んだ。
「毎度毎度これだけの犠牲を出しながらもなんの成果も得られないとは…。どういうことだ！」
傍聴席にいた1人が声を張り上げる。
それを筆頭にして、次々と飛んでくる野次に、キースは目を閉じて耐えるばかりだった。
「静まれ」
ザックレーの、静かな圧のある一声で、傍聴席は静まり返った。
「キース。我々が壁外調査の為に投じている額はご存知かな？」
「えぇ…。」
キースの表情は、より一層堅くなった。
しんと静まり返っている中、ばたんと大きな音が響く。
「ザックレー総統！シガンシナ区の壁が…破壊されました！！」
突然の知らせに、一同は困惑するばかりであった。
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負傷兵を運び終え、次は看病だ。
まず行うのは包帯の巻きかえ。
大量の包帯を両手でいっぱいに抱えながら医務室に辿りつくと、負傷兵の多さに驚いた。
1、2、3、4、…数え切れない程だ。
「おい。早く」
後ろからリヴァイに背を押され、はっと我に返った拍子に、包帯をいくつか落としてしまった。
「わわわ…」
しゃがみこんで拾おうとする所を、リヴァイに手で止められる。
「俺が拾う。お前はさっさと巻き替えをしろ」
「わ、わかった！」
リヴァイは私の両手から半分ほど包帯をとると、床に転がった分を拾い上げた。
一先ず、いちばん奥、窓際の男性兵のベッドへ近寄る。
彼は、幸いにも右腕と右足に切り傷を負っただけのようだった。
「少し痛むと思いますが、我慢してください…」
既にくたくたになっていた包帯をゆっくりと外すと、生々しい傷跡が姿を現す。
「う…」
男性兵は顔を顰め、うめき声をあげた。
よく見ると、木の破片が所々に刺さっている。
どうやら、あの森で戦闘中に怪我をしたみたいだ。
「外しますね…」
最後の1周を巻き取り、麻袋に入れた。
そして、傷口に刺さっている木片を、慎重に取り出す。
取り出す度に呻き声を上げる兵に、とてつもなく申し訳ない気持ちになった。
よし、これで最後……！
目に見える分の木片は全て取り出せた。後は傷口を洗って、また包帯を巻くだけ…
そう思っていた時、兵舎の門あたりに馬車が到着したのが見えた。
時間的にみて、団長たちか医療班のどちらかだろうか…
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作者名：来世は春菊 | 作成日時：2023年11月25日 23時
