いつか、絶対に。【進撃の巨人】 (ページ5)

今日:42 hit、昨日:18 hit、合計:22,736 hit

#　4 ページ5

ぼんやりとしていた視界が徐々にハッキリとして、まず目に飛び込んできたのは床だった。

　でも、それは私の家のものでは無かった。

　段々と呼び起こされた記憶を辿るに、ここは恐らく私を襲った奴らの拠点に違いない！

　とりあえずは狸寝入りをして、この場をやり過ごし、逃げる機会を窺う。

　そう頭の中で立てた計画を元に、目を瞑る。

　「…オイ、起きたか？」

　少し低い声に、なんとなく顔の前に気配を感じた。

　恐らく、顔を覗き込んでいるのだろう。

　ここで目を開けたらだめだ！

　の一心で、目をきゅっと瞑る。

　「オイ、起きてるんだろうが。目を開けろ」

　
　途端に眉間の辺りに硬い感覚がして、思わず目を開けてしまった。

　やってしまった！と思いつつ見上げると、そこには、刈り上げて三白眼の男───リヴァがいた。

　「面倒かけやがって。起きたんなら起きたって言えばいいだろ」

　ふん、と鼻を鳴らしながら立ち上がる彼を、ただぼうっと見つめることしかできなかった。

　「オイ、何とか言ったらどうだ。それとも、俺の事を忘れたのか」

　「っ忘れるわけ！」

　そう、忘れる訳なかった。

　3年前に何も言わず酒場をやめたので、てっきりもう死んでしまったと思っていたのだが、後に風の噂で"ゴロツキ"だと聞いた彼を、忘れてはいなかった。

　「リヴァイ、助けてくれたの？」

　紅茶を淹れる彼の背中に話しかけると、彼はこちらに目もくれずに返事をする。

　「それ以外でお前が今ここにいる理由はどこだ？」

　「ありがとう、リヴァイ。」

　そう答えると、彼はまたふんと鼻を鳴らして、2つティーカップを持ってこちらへ戻ってきた。

　「いつまでも寝るな。大体そこは俺の寝床だ」

　相変わらずの減らず口だ。

　「うん、ごめんごめん。」

　思わず苦笑しながら身体を起こし、リヴァイとテーブル越しに向き合う。

　「久しぶりだね、ほんとに。会えて嬉しい！」

　「…そうか。」

　相変わらず独特なカップの持ち方で紅茶を啜りながら、昔のように私の頭を撫でる温もりに、思わず涙がこぼれそうになった。