いつか、絶対に。【進撃の巨人】 (ページ34)

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もう荷馬車もなく、彼の死体を持って帰るのを諦めるしか無かった。

　きっと帰りもここを通るし、その時に持って帰ることが出来れば…

　
　軽く彼にお辞儀をし、馬に乗る。

　
　…

　完全に、ひとりぼっちだ。

　壁外でのひとりぼっちほど、怖いものはない。

　
　草原に残った馬の足跡を頼りに進む。

　初めての巨人、怖かった…！！

　顔は不気味だし、体は大きいし、声も大きいし…。

　早くみんなと合流したい…。

　
　暫く進んでいると、前方に黄色の信煙弾が上がるのが見える。

　
　黄色は…作戦遂行不可…？

　なんで…？

　耳の裏辺りに、自分の心音が木霊する。

　何かあったのだろうか…。

　空に目をやると、黒く濁った雨雲が押し寄せていた。
　
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　「団長。雨雲が迫っています。このまま進むのは危険です」
　

　「わかっている。だが、だからどうしろと言うのだ」

　「一旦兵を集めましょう。集団で動かねば、犠牲が大きくなります」

　「…わかった。お前が打て」

　エルヴィンは、腰元の信煙弾に手をかけ、打ち上げる。

　黄色の煙が舞い上がった。

　
　空を見上げると、雨雲はすぐそこまで迫っていた。

　じきに雨が降り出すだろう。そして、もうすぐ森の中へ進むことになる。

　辺りは獣道な上、雨が降ればぬかるみ、陣形は更に崩れるはず。

　…あまり時間が無いな。それに、後衛は甚大な被害が出ていると聞いた。

　
　思わず空を睨む。

　やがて、エルヴィンの頬に雨粒が落ちてきた。