いつか、絶対に。【進撃の巨人】 (ページ31)

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　「A〜！おっはよう！」

　「うわっ？！」
　

　朝から廊下を歩いていると、いきなり後ろから抱きつかれる感覚があった。

　驚いて振り返ると、そこにはハンジ分隊長が立っていた。

　「おはようございます、分隊長。朝から元気ですね。」

　相変わらずのタフさに驚きつつも敬礼をすると、私の拳を広げるかのように両手で包み込む。

　「うんうん！なんだって今日は…！！待ちに待った壁外調査なんだから！」

　
　壁外調査。

　その響きに思わず身震いをした。

　「あれ？なんか顔色悪くなーい？？大丈夫？」

　ハンジ分隊長が何か言っている気がするが、それどころではない。

　
　壁外調査…。

　新兵の生存率は、5割を下回る。

　途端に、自分の心臓が、とくん、と音を立て始める。

　私は、生き残れるのだろうか…

　
　「おい、ハンジ。Aが困ってるだろ」

　「リヴァイおはよ！え？Aが困ってる？？なんで？」
　

　突然テノールボイスが私の鼓膜を揺らし、驚いて肩がぴくっと跳ねた。

　振り返ると、分隊長を睨んでいるリヴァイ。

　「A、困ってたの？どうして？」

　「えっ？！あ、いや、大丈夫です！！」

　いきなりハンジ分隊長が私を覗き込んできて、思わず声が裏返ってしまった。

　「リヴァイ、分隊長なんだからちゃんと敬礼しなきゃだめでしょ」

　
　「あ？言っとくがな、俺は敬礼をする相手は選ぶ。」

　「ほんと最悪！」

　「言ってろ」

　鼻で笑うリヴァイと、ぷいっとそっぽを向く私。

　そんな私たちの様子を見兼ねてか、ハンジ分隊長は私たちを宥めるように言った。

　「まぁまぁ、これから巨人に会えるんだよ？何もそんなに喧嘩することないだろ」

　「会わなくていい」

　「会いたくないですっ！」

　2人して、ハンジ分隊長の言葉を遮って歩き出す。

　その場には、何やら困惑した様子のハンジ分隊長だけが残っていた。