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ぼーっとしていると、今度は淡褐色と目があう。
無意識にミケ分隊長を見つめていたらしく、何だか恥ずかしくなってしまって咄嗟に前を向いた。
すると、左からくすりと笑う声が聞こえてきて、思わず左を向く。
エルヴィン分隊長が、また正面を向きながら、少しだけ笑っていた。
｢…どうかされたのですか？｣
恐る恐る尋ねると、エルヴィン分隊長は、今度はこちらを向いた。
｢いや…。セルビター、君は中々面白い人だ｣
｢あ、ありがとうございます…… ？｣
褒められているのか貶されているのかわからないが、なんとなく褒め言葉として受け取る事にした。
「君もそう思うだろう？ミケ」
ふと、エルヴィン分隊長が私の後ろに目をやり、すこし口角を上げながらミケ分隊長に尋ねる。
それにつられて私もミケ分隊長を見ると、なんだか複雑そうな顔をしていた。
「あぁ。なんとなく、斬新な雰囲気を感じる…。今迄に嗅いだことのない匂いだ」
「体臭が同じというのは中々ないかと思いますが…」
もう一度自分の袖当たりを嗅いでみるが、やはり何も感じない。
もしかすると、自分では気付かないだけで意外と臭うのでは…？！
そう考えた途端、なんとなく血の気が引き、心臓の鼓動が大きく響いた気がする。
「どうかしたか？」
馬車の窓から指した光が淡褐色を照らして、その瞳の中に綺麗な影を作った。
「いえ…。…その、やはり、匂いますかね、私。」
恐る恐るそう尋ねると、ミケ分隊長は少し目を見開いたあと、ふっと口元を緩めた。
「そんなことはない」
そう告げると、また正面を向いてしまった。
やはり、ミケ分隊長はよく分からない…。
色んな考えが頭を過ぎって、思わず考え込んでしまう。
「A。ミケはとても鼻が優れていてね。彼は匂いから相手の性格や特徴を捉えることができる」
「鼻が優れすぎでは…？」
「あぁ。そうだな」
エルヴィン分隊長は、一瞬だけ口角を上げたが、直ぐに表情は戻って真正面を向く。
私も、なんとなく空気に流されて真正面を向いた。
じっと馬車の中を見つめていると、古い馬車なのか、シミが3つほど広がっている。
なんか、顔みたい…。
思わずふふっと笑いを零してしまった。
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作者名：来世は春菊 | 作成日時：2023年11月25日 23時
