# 15 ページ16
訓練兵たちが、すこし緊張した面持ちでブレードを抜き、森の中を抜ける。
ガスを吹かしすぎる者や、制御が効かなくなり落ちて木の根へ直撃する者が殆どだ。
最初の実技訓練ともなればこれが妥当である。
しかし、その中で異色の光る者がいた。
他のものが一息を着く間に模型の項を次々と削いでいく様子は、もはや目で追うのすら難しかった。
やがて、少し開けた場所の模型へたどり着く。
真上から回転をしながらうなじ部分を削ぎ落とした。
｢時間だ。全員戻ってきてくれ｣
教官の声が響き渡り、その少女──Aも集合場所へと向かう。
その一部始終を見ていたエルヴィンの瞳には、人類の希望のみが写っていた。
----------
｢疲れた…… ｣
今日の実技は特に動き回ったせいで疲れてしまった…
晩御飯を食べ終えた後、直ぐに自室に戻ってベッドへなだれ込む。
｢ちょっとA、そのまま寝るつもりじゃないよねぇ？｣
なだれ込んだ直後、タオルを肩にかけた栗色の髪の少女、もといアーツがドアを開け、自分のベッドに座る。
｢でももう眠い…… ｣
｢その体勢だと寝違えるよ。ほら立って｣
少し呆れたような乾いた笑いをもらしながら、私に手を差し伸べるアーツ。
｢よっこいしょ…… ｣
｢あんたはおっさんか｣
やっとの事で立ち上がった私を、少し支えるようにしながらベッドに入れて布団を掛けてくれるアーツ。
お姉ちゃんがいたら、きっとこんな感じなのだろう。
｢ほらおやすみ。明日もはやいからね｣
｢うん。アーツもね…… ｣
瞼を閉じれば直ぐに暗闇に包まれて、意識は落とされていく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：来世は春菊 | 作成日時：2023年11月25日 23時
