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起きた瞬間、すぐに忘れてしまう夢の内容を、何故かハッキリと覚えている日が、たまにある。
そして今日は、その"たまにある日"であった。
夢の中のわたしは、本を読んでいた。その本は、私の1番のお気に入りである本だった。
本来なら、私ではなくもっと子供向けの、おとぎ話をまとめた童話集であるが、私の脳とその本とはどうやら相性が良いらしい。
まるで本にのめり込むようにして集中して読んでいた。
ふと、手元に不自然な影ができる。
自分の影にしてはやけに大きい気がした。
やがて、灯りの火が風で揺れていることに気がついた。
でも、夢の中の私は振り向かない。
手元にできた影はどんどん大きくなり、やがてそれは人型の影になった。
慌てて振り返った私の目の前には、髭を生やした男が1人、私に斧を振りかぶっていた。
私の夢の記憶は、そこでとまっている。
とても不気味な夢だった。
わたしは、ふと、床を放棄で掃きながら思った。
どうせ覚えておくなら、もっと幸せな夢であればよかったのに、と思った。
もっと幸せな…そう、美味しいものを沢山食べる夢だとか、お父さんといっぱい話す夢だとか、あとは、この地下街を出て、新鮮な空気をいっぱい吸う夢だとか。
そんなことを考えながら雑に床を掃いていると、突然背中に鈍い痛みが走る。
「…なに、」
刺激が飛んできた方をみると、そこにはリヴァイがいた。いつもより眉間に深いシワを寄せ、鋭い三白眼は私を捉えていた。
「雑にするな。まだホコリが残ってるだろ」
「…うん。」
いつもなら、すこし強気で言い返す言葉を紡ぎ出すのに、それを考えることすらしない私に、きっと彼は違和感を覚えたはずだ。
視線が私を突き刺すが、無視して無心に床を掃いていた。
「…変なやつだな、おまえ。」
「…あなたにいわれたくない。」
「俺は変じゃない」
「変だもん。」
床を見つめながらリヴァイと会話をする。
こうして、たわいもない話をする時間が、わたしは結構すきだったりもする。
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＊現在公開可能な情報
リヴァイは地下街の酒屋で皿洗いの仕事してる可愛い少年です
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作者名：来世は春菊 | 作成日時：2023年11月25日 23時
