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「意外に冷静だね?伊達に五条家の血を引いてる訳じゃないんだ」
まるで人形に話しかけているように、静かに語りかけられる。
「…少し話をしようか。僕はね、君の殺害を依頼されてここに居るんだ。最初からそのつもりだったんだよ」
彼の言葉はゆっくりと落ちていく。
「僕には協力者がいてね。身体が動かないのはそういう
彼は俺の目を見て説明してくれた。頬を持つ指先に力が込められる。
「…ねぇ、A、それでも脳は正常なんだよ」
視覚、聴覚、触覚、嗅覚に異常はなかった。恐らく味覚も。だから彼の言ってることは本当なんだろう。
「
彼の声が少し震えた。
「僕、裏切ってるんだけど?経験値あるお前なら分かるでしょ、これがどんな状況か」
よりしっかりと、ほとんど抱きかかえるように頬を持たれる。
「少しは抵抗しなよ」
頬から伝う呪力がゆらゆら揺れて、俺の身体に入ってくるのを躊躇うように弱くなった。
「ねえ、A、」
縋るような目に、なんて返せば良いのか分からなかった。初めて彼の手を握った時は温かかったのにな、とどこか遠くで考えた。
「…そっか、僕の術式知らないんだ。ね、そうだよね?」
いつまで経っても肯定しない俺に、彼の顔は一気に曇る。
彼の名前を呼べば、彼は悲しそうな顔をした。
おかしいな。そんな顔をさせたい訳じゃなかったのに。
「貴方の術式も、貴方がどんな風に生きてきたかも、全部、分かってます」
「なんで、そこまで知って…」
「俺は五条悟の兄、五条Aですよ?呪術界で五条家に調べられないものはありません。それが例え、
こんなに早いとは思いませんでしたけど、と無理に笑って見せた。
「…っ、そっかぁ……」
彼は下唇を噛み締めた。それはそれは強く。
それと同時にピリピリとした刺激も止み、彼が両手を下ろす。
「えっ、ちょ、どこに…!」
彼は鳥居の方へ、高専の東側の鳥居の方へ、真っ直ぐと歩いていく。
「A。ちょっと、兄弟喧嘩してくる。んだよ、そんな顔すんなよ。大丈夫だから」
彼の大丈夫は信じてはいけないと知った。知っていた。そして、
「俺は必ず帰ってくるから」
俺のクラスメイトは、嘘つきな男だったとも。
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砂漠 - エレナさん» ありがとうございます!そう言って頂けるととても励みになります(●︎´▽︎`●︎)これからも楽しみに思っていただけるよう頑張るので、ぜひ最後までお付き合いください、、、(_ _*)) (2022年4月2日 11時) (レス) id: c817577711 (このIDを非表示/違反報告)
エレナ(プロフ) - この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年3月26日 21時) (レス) @page16 id: 806542db6b (このIDを非表示/違反報告)
砂漠 - お餅さん» まーたやりました。今日何回目ですか、私!!1個下のコメントはお餅さんへの返信です、、、失礼しました、、、お餅さん、コメントありがとうございました✨ (2022年1月1日 15時) (レス) id: c817577711 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠 - コメントありがとうございます!ご期待に添えるよう、更新も頑張っていきたいと思います٩(ˊᗜˋ*)و最後までお兄ちゃんを応援してあげてください(_ _*)) (2022年1月1日 15時) (レス) id: c817577711 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠 - あいすくりぃむとちょこれぃとさん» いや、私もタイトルとの温度差は感じていたんですよね、、、ですが地獄を見たというお言葉に笑ってしまいました😆最高の褒め言葉ありがとうございます!お兄ちゃんには幸せになって欲しいですね、、、頑張ります🔥 (2022年1月1日 15時) (レス) id: c817577711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂漠 | 作成日時:2021年12月11日 11時