【実況者】短編集2

hrn ページ9

ヒラノ課長「揺れるもんが男の狩猟本能を誘う、ってやっぱりあるよな」


「……ピアスとか？」


ヒラノ課長「あーそうそう」


俺はAのポニーテールを見ながら答えた


「揺れる大きなピアスはしないんだけど

……私もした方がいい？」



ニヤリと笑って彼女はこちらに振り向いた

と同時にポニーテールも揺れる



あー

そういうの


ヒラノ課長「……うーん、


いや、付けないでええわ

他の男に目ぇ付けられても困るし」


「男ってのはそんなんだけで
惑わされるもんなん？」


ヒラノ課長「そういうやつもおる

Aは特に可愛いしな」


「わぁそりゃ嬉しい」


特に表情も変えず
机を拭いていたAは立ち上がり

流しで皿洗いを始めた


ビールを持ちながら俺はAを眺める



「どうかした？」


ヒラノ課長「んーんー

…なんか奥さんみたいやなーって」


ビール缶を置いてAの横に立つ


「そんな新鮮な事でもないじゃん
今更どうしたん？」


ヒラノ課長「別にー？」



俺は皿洗いを続けるAの周りをうようよと動く


Aが長袖で皿洗いをするのに気づき
後ろから俺は手を伸ばし

腕まくりをしてやる

Aのポニーテールが首の上をチラチラと動いて、ほんの少しくすぐったい



「ん、ありがと」


ヒラノ課長「いいえ




………Aって、全く照れたりせんよな」


「…？そうかな、

いつもかっこいい課長にデレデレなんやけどなぁ」


ヒラノ課長「嘘つけっ！全然そんな顔せえへんやん！」


「…顔に、出てないだけかなぁ」



Aは振り返りもしなければ

手元での皿洗いを止めない

俺はAに後ろから抱きつくように
肩に顎をおきながら喋ると


「くすぐったい
課長は大人しく座ってて」


ヒラノ課長「……はーい」




家事をしてくれている間だとはいえ

構って貰えないのは少し残念だ

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