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フジ「お母さんから最期にもらったものなんでしょ？」
フジくんは覚えていたらしい
中学二年の春にすでに床の伏していた私の母が
その弱った身体で作ってくれたイヤリング。
母は末期のがんでその後すぐにこの世を去った
私と、年の離れた弟を残して
周りからの腫れ扱いされるのが嫌だった
同級生からも、先生からも、
今まで顔も知らなかったような親族からも
同情なんてされたくなくて
なるべく気丈に振舞ってきたのに
それすらも「かわいそう」とされた
1人でどうにかしようとした私の横に
フジくんは、いてくれた
周りからどう言われようと
今日のように手を差しのべてくれた
その存在に救われたのは事実だった
「……ごめん、本当にごめん
いつも…迷惑、かけて」
フジ「大丈夫。大丈夫だよ。」
そんなつもりじゃなかったのに
目頭があつくなって何故か、涙がポロポロと零れた
人の往来が激しい道で
周りから視線を感じた
フジくんが泣かせたように見えるかもしれない
すぐに泣き止みたいのに息が出来なかった
「あ、の……ごめっ」
頭を両手で掴まれて
フジくんにそっと引き寄せられた
目の前にあるのは多分、フジくんの胸板で
フジ「ほら、泣くなら隠してあげるからさ
……いいよ、好きなだけ」
優しい声が上から降ってくる
あたたかかった
大きなぬくもりに包まれて
また、涙がとめどなく溢れてくる
フジくんはそっと私の頭を撫でてくれた
フジ「あ」
ふと、上から
あっけに取られたような間抜けな声が聞こえた
フジ「あった」
「…え？」
フジ「あったよ、イヤリング！」
フジくんが手を伸ばした先は
私達がさがしていた道の柵のへりの、隙間
「うそ」
フジ「こんなところにあったんだ」
地面ばかりを探していて
気づかなかった
灯台もと暗し、というやつだ
驚きでいつの間にか涙は止まっていた
フジくんは私にイヤリングを手渡すと
ニコリと笑った
フジ「本当に、よかった」
「うん、本当に。フジくんありがとう」
フジ「いいんだよ
帰ろっか、送ってくよ」
「大丈夫だよ」って言おうと思ったけど
きっと彼は折れてくれないだろう
「じゃあお言葉に甘えて」
フジ「多分誰かが気付いて置いておいてくれたんだろうね」
「だね、逆に見つけられないなんてね」
フジ「皮肉なこった」
私達は笑って歩いた
フジくんはずっと横にいてくれた
甘えることを教えてくれた、そんな人だった
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美寿(プロフ) - 違和感があるのは多分flknじゃなくてfrknだからかと、、 (2021年3月5日 19時) (
レス) id: 1c7691558e (このIDを非表示/違反報告)
渡下(プロフ) - ゆーれんかさん» コメント&リクエストありがとうございます〜嬉しいです！towacoさん頑張って書かせて頂きます！！ (2020年6月3日 11時) (レス) id: 497e2bb074 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーれんか(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます。もしよろしければリクエストで泣き虫な彼女とtowacoさんのお話お願いします。時間がある時で全然大丈夫です！ (2020年6月2日 12時) (レス) id: a0de8d250a (このIDを非表示/違反報告)
b(プロフ) - 渡下さん» リクエスト叶えて下さりありがとうございます(≧∇≦)2人の雰囲気、とっても良かったです。これからも頑張っ下さい！ (2020年5月27日 20時) (レス) id: aa27f5f7cf (このIDを非表示/違反報告)
渡下(プロフ) - bさん» コメントありがとうございます！気に入って頂けて嬉しいです！煙草の課長ですね、精一杯頑張らせていただきます〜！ (2020年5月25日 19時) (レス) id: c1d06e18ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渡下 | 作成日時：2020年5月3日 22時
