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放課後 ページ21

放課後。

自分の噂話がしきりに耳に飛び込んでくる廊下を抜けて、いつも使っている部室にたどり着く。

もうメンバーはいつも使っている会議机の周りにいるみたいだった。


「集まってくれてありがとう」


私がそう言って部室のドアを開けると、みんなが一斉にこちらを見た。

心なしか表情も硬い。

きっと私もそうだと思う。


話そう、自分の考えていることを。


「「ごめん!!」」


私が喋ろうと口を開いた瞬間、三人がガタッと音を立てて立ち上がって言った。


「……え?」


突然のことに私が驚いていると、ギターの夏癸(なつき)が話しだした。


「ずっと練習来なくてごめん。実は、バイト先の店長がすごい厳しい人に変わって。シフト抜けられなくなっちゃってたの」


表情を曇らせていた夏癸がばっと顔をあげた。


「でもやめてきた!」

「あんなに大事だって言ってたのに」


私はかなり驚いた。

夏癸は食品関係の仕事を目指しているから、バイトはすごくいい経験だと以前話していた。


「ブラック企業はだめだっていうことを身を以て学べたと思う」


夏癸が感慨深げに頷く中、遠慮がちに鹿乃子が口を開いた。


「私は、ピアノの発表会でお母さんがいつもにも増して厳しくて……」


鹿乃子は両手をぐっと握りしめた。


「でもこっちの曲もばっちりだよ!……練習来れなくて、本当にごめんね」


泣きそうになっている二人にもういいよ、と声をかける。

二人の気持ちはずっとバンドにあったことを知り、私は少し安心する。


残るは乃亜だ。


「私は……二人みたいに真っ当な理由じゃない」


乃亜が俯いたまま話し出した。


「Aの名前が校内で有名になって、Aはライブハウスでも活躍するようになって嬉しかったけど」


鹿乃子が暗い声の乃亜の肩をさする。


「Aと同じバンドなのに全然うまくなれなくて、夏癸も鹿乃子も上手いのに私はお荷物で」


涙声だった乃亜の目から、ついに涙が零れた。


「私、LYRICSにいる資格ないよ」


乃亜がそんな風に思ってるなんて、知らなかったし考えもしなかった。

底なしに明るいと勝手に思って乃亜の気持ちをいつも蔑ろにしていたのかもしれない。


私は泣き出した乃亜にそっと近づいた。

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はるこん(プロフ) - 無気力なおバカさん» 恋愛と関係のないシーンなので入れるか迷っていたのですが、共感していただけてとても嬉しかったです!ペースは遅いですが、見捨てないで読んでいただければありがたいです笑 コメントありがとうございます! (2020年4月15日 19時) (レス) id: 99f376c927 (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです!!『文化祭の陰』のところの最後の「女子というのは恐ろしい」ってところものすごく共感します!!それと、赤葦くんやはりイケメンですねぇぇ。夢主ちゃんの性格もかわいくて素敵!!これからも更新頑張って下さい!!!!!! (2020年4月15日 2時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
はるこん(プロフ) - りんごあめさん» 一話書くのに時間がかかるタイプなので、内容を褒めていただけるのはとても嬉しいです!更新がんばります。 (2020年4月4日 10時) (レス) id: fde04c5d32 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ - 初めて見ました!赤葦さがちゃんと残っていて、更に内容まで凝ってるだなんて!凄い技術ですね!これからも更新頑張ってください!楽しみにして待っています! (2020年4月1日 23時) (レス) id: e7faacb67c (このIDを非表示/違反報告)
はるこん(プロフ) - コメント嬉しいですーありがとうございます! (2020年3月27日 10時) (レス) id: fde04c5d32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるこん | 作成日時:2015年12月7日 22時

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