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顔合わせ ページ20

「向こうの棚の整理しといてもらえる?」


私はいつものようにカウンターに座っていたが、先生は私がこれだと落ち着かないみたいだ。

腑に落ちないが、私は席を外した。


図書室に来る人には熱心な軽音ファンはあまりいないようで、私がフロアで作業をしていても特に話しかけられることはなかった。


安らぎ空間だ。


平和な空気を吸える幸せをひたすら噛みしめる。


私が先生の指示通りに利用頻度の高い本棚を整理していると、誰かが私の後ろにあるテーブルに着く音がした。


……いつもこの席使ってるのって。


振り返るとノートを広げる赤葦くんがいて、たまたま目が合ってしまった。


やっほー、と小声で手を振ってみる。


赤葦くんは一瞬動きを止めてから、何事もなかったかのように会釈した。

普通に接してもらえるってめちゃめちゃありがたいな、と思いながら私は踏み台を降りる。


そういえばまだ月バリの最新号、出してないな


月刊バリボー。

うちのバレー部が強豪だから学校も買ってるんだと思うけど、多分赤葦くんしか読んでないと思う。運動部のひと図書室来ないって。


「ねえ、赤葦くん月バリの5月号、読む?」

「いいの?」


即答だった。



「月バリ、意外と役に立つこと書いてあるから、ありがたい」


準備室から持ってきた新刊を受け取りながら、赤葦くんは言った。

そして、いつも図書室に来て書いているノートを見せてくれた。


朝や昨日のプレーの振り返り、有名選手の戦略、ローテーション。


色々なことが丁寧な字で書き込まれている。


ノートは使い込まれていて、もうすぐなくなりそうだ。


「かっこいい」


思わず口に出すと、赤葦くんは少し照れているみたいに微笑んだ。


「……だから届けてもらってほんとに助かったよ、ありがとう」


律儀にお礼を言ってくれる。


赤葦くんといると、ほんとに、幸せだ。


その日部活オフだったから全然いいよ、と言って、私は隣の本棚の整理を始めようとした。

踏み台を一つ隣に動かす。


「あの、Aさん」


赤葦くんが気まずそうに斜めに視線をそらして口元を覆う。

なんだろう、と首をかしげて私は赤葦くんの言葉を待った。


「スカート、危ない、かも」


私は慌てて意味もなくスカートの裾を抑えて踏み台を見やる。


……確かにぎりぎりな高さだ。


「す、すみません」


………次はジャージ持ってこよう。


私は赤面して頭を下げながら、赤葦くんもちゃんと高校生なんだな、と思った。

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はるこん(プロフ) - 無気力なおバカさん» 恋愛と関係のないシーンなので入れるか迷っていたのですが、共感していただけてとても嬉しかったです!ペースは遅いですが、見捨てないで読んでいただければありがたいです笑 コメントありがとうございます! (2020年4月15日 19時) (レス) id: 99f376c927 (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです!!『文化祭の陰』のところの最後の「女子というのは恐ろしい」ってところものすごく共感します!!それと、赤葦くんやはりイケメンですねぇぇ。夢主ちゃんの性格もかわいくて素敵!!これからも更新頑張って下さい!!!!!! (2020年4月15日 2時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
はるこん(プロフ) - りんごあめさん» 一話書くのに時間がかかるタイプなので、内容を褒めていただけるのはとても嬉しいです!更新がんばります。 (2020年4月4日 10時) (レス) id: fde04c5d32 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ - 初めて見ました!赤葦さがちゃんと残っていて、更に内容まで凝ってるだなんて!凄い技術ですね!これからも更新頑張ってください!楽しみにして待っています! (2020年4月1日 23時) (レス) id: e7faacb67c (このIDを非表示/違反報告)
はるこん(プロフ) - コメント嬉しいですーありがとうございます! (2020年3月27日 10時) (レス) id: fde04c5d32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるこん | 作成日時:2015年12月7日 22時

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