成り代わり杵の突撃！隣のブラック！ (ページ50)

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CASE3-21 ページ50

「お、あんたがたぬきかぁ、よろしくな」
「たっ…その呼び名どこで聞いた？」
「え、短刀がそう言ってたよな？」
「ああ、たぬきさんはぶっきらぼうだけれど優しいとか何だとか」
「ええ。同田貫殿は不器用ながらも気遣ってくれて…自分も尊敬しています」

そう蜻蛉切が言えば、同田貫は僅かに顔を赤くしてそっぽを向く。
蜻蛉切は生暖かな目で見ている。
…母親かな？何となくこの本丸での蜻蛉切の立ち位置が見えた気がした。

「これから本丸の一員として、よろしくお願いします」
「宜しくな、蜻蛉切」

「よっ、御手杵の旦那。飲んでるかい？」
「薬研藤四郎か。酒は苦手だからな。そこそこに、だ」
「お堅いねえ。薬研で良いぜ、旦那。これからおんなじ本丸で暮らしてくんだ。仲良くしようぜ」
「分かった。よろしくな薬研」

夜。いわゆる宴の席。
この身体になってから酒を初めて飲むものだから最初は随分抵抗があったものの、一回飲んで見ればまあ美味しいとまではいかないものの、結構飲める方だったらしい。
ちなみに酒を初めて飲むと言えばまた微妙な顔をされた。どうしろと。

「あいつは…俺が写しだからいつもあんな…！」
「全く君は…それを直接言えば良いのに。雅じゃないよ」
「拙僧の筋肉が唸りをあげるぞぉ！」
「がははははは！力比べするか！？」
「和泉守！飲み勝負じゃあ！」
「おっ、陸奥と和泉の一騎打ちか！？」
「吠え面かくなよぉ！」
「かっこいいよ兼さん！」
「燭台切さんの唐揚げ美味しいです！」
「おい兄弟。俺のを取るな」
「へっへーん、兄弟がよそ見してるのが悪いんだーい！」

主はもう寝室に帰ったらしく、殆どの刀剣が出来上がっている。
警備体制とか大丈夫なのかとは思うが、短刀の姿もちらほら見えないので適当に警備に当たっているのではないだろうか。
短刀も殆ど全員酒を飲んでいる。視覚的には倫理が色々問われそうだが百年単位で年を重ねているので何も言えない。

徳利に入った酒をちゃぷちゃぷと揺らし、横目で三日月を見る。
三日月は酒を飲むのが初めてだったらしく最初は戸惑っていたが、もう大分出来上がっている。
そして何故か俺の腹に手を回して背中に頭をぐりぐりと擦り付けている。
何故。