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CASE3-20 ページ49

「手杵や、大丈夫か!?」
「あっとー大丈夫大丈夫三日月俺何も怪我ないから全っ然気にしてないし無傷だしほんと大丈夫だから」

三日月の目が鋭くなったのを見て更に寒気がした。
ラノベの鈍感系主人公じゃなくてもイベントは起こるらしい。きっつ。


「同田貫正国だ。あんた練度76なんだろ?悪かったな、木刀が当たんなくて良かったわ。蜻蛉切の腕力やべーからなぁ」
「蜻蛉切、と申します。本当に申し訳ない、お怪我は無いようで何よりです」

そう言って軽く会釈する同田貫と、背筋を正して一礼する蜻蛉切。
何というか、礼の仕方が対照的な二人だ。

「切国のお陰で怪我はないし、それに当たったとしても俺そこそこ頑丈だから大丈夫だったってぇ。三日月も、な?俺ほんと何もないから気にすんな、ほら」

そう言って頭を撫でれば、剣呑に成りかけていた雰囲気がしゅるしゅると萎んでいく。
割とちょろい。

「…次は、無い」

そのままきりと蜻蛉切たちを睨みつける。
練度1だからなのか、そこまで俺にも重圧は感じない。
その様子を見て、蜻蛉切が微笑ましそうなものを見る目で
「三日月殿は本当に御手杵殿の事が好きなのですなぁ」
と言う。その言葉にも表情にも一切の不粋さは感じない。本心から言っているようだ。
蜻蛉切はもっと武人然とした雰囲気かと思ったが、どこか表情は柔らかいし、意外と迫力はない。
というかこれをそれで済ませるのか。鈍感というか懐が深いというか。いや天然なのか?

「んで?あんたら何しに来たんだよ」
「本丸を案内しようと思って道場に来たんだが…」
「俺がな、蜻蛉切と同田貫には挨拶してねーなーと思ってさ。手合わせの様子とかも見てみたかったから」

そう言えばふーん、と同田貫は頭をかく。興味の薄そうな返事だ。

「成る程。自分も御手杵殿とは一度話してみたかったので、丁度良かったです。東の御手杵、と謳われたあの名槍に」
「そういうあんたは、触れれば切れる蜻蛉切だろ?俺はあんま逸話がぱっとしないからさぁ、あんたのことすごいと思うぜ」

御手杵のロールプレイが分からない。
自分より身長が高い奴に会ったのは初めてなので、しゃがんだり下を向いたりしないのは何となく新鮮だ。

「あんたが御手杵と三日月か。俺が同田貫正国。所謂実践刀ってやつだ。よろしく」

思わず小さい、と呟きそうになって慌てて口を閉じたのは秘密である。



後書き
アニメも活撃も見てない作者は蜻蛉切さんが天然バブみ紳士槍と聞いたのでこうなった。

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作者名:白萩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年10月6日 21時

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