CASE3-15 ページ44
用意された部屋で布団を敷く。
もう外はすっかり黒く染まり、障子を開けて畑の方を見れば闇の中でもう何も見えない。
三日月はレシピ本を見て、時折
「俺はこの料理を食べてみたいなあ。手杵はどう思う?」
と写真を指差している。俺は唐揚げ食いたい。
初めてのご飯は随分とお気に召したようだ。
夕餉はまさしく和食、と言った感じであった。
脂がのったブリの照り焼きにほかほか炊きたての白米、熱々のわかめのお味噌汁、ほうれん草と油揚げのお浸し。
前世で食べたものとは段違いで美味しかった。
俺あんなブリの照り焼き食ったことないわ。白米だけ食べても美味しいってどういうことなの。
三日月は箸の持ちかたが分からず戸惑っており、俺も一応ブラック本丸出身なので、たまたま近くにいた長谷部に教わった。
長谷部は
「なぜ俺なんだ!」
と箸を握りつぶさんばかりで、薬研が窘めていた。
それに三日月がほけほけと笑って
「お主の持ち方が綺麗だからな。教えを乞いたいと思うのは当然だろう」
と言ったら、虚をつかれた顔をしていた。
三日月強い。
その後、長谷部が
「…主の顔に泥を塗らぬ為だ!勘違いするなよ!」
と誰にともなく言い訳し始めたので、俺は気にしないように御手杵らしく
「そうかー、ありがとなー」
で流しておいた。
これ気にしたら長谷部に絡まれるやつだろう。御手杵は細かいことは気にしない刀剣男士だからしょうがない。
三日月がブリの照り焼きを食べた時の反応も面白かった。
口に入れた途端、「…!…?!…!?」と口を押さえて目を白黒させるものだから思わず笑ってしまった。
周りの刀剣が目頭を押さえていたり項垂れていたりしたが気にしない。
ちなみに、皿を厨まで持っていくと、燭台切から「好きなご飯はある?明日の晩御飯は君達の歓迎の宴だからね、何でも作っちゃうよ!」
と言われた。
明日の夜は俺たちの歓迎会らしきものをやるらしく、張り切って作るよ、とスポンジを持ちながら喋っていた。
それに俺たちが
「好きな料理、と言われても知らぬから分からぬ。今晩の夕食は美味であったぞ!手杵はどうだ?」
「俺もだなあ」
と答えたら燭台切が膝から崩れ落ちた。
涙目で蜂須賀からレシピ本を渡された。
ばきり、と音がしたのでそちらを横目でみると、歌仙の両手に箸の残骸があった。
後から来た獅子王がその木の棒を見て「俺の箸ぃ!?」と崩れ落ちた。
二次災害。
後書き
通知めっちゃ来ててびびった。
ありがとうございます。
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