成り代わり杵の突撃！隣のブラック！ (ページ4)

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CASE1-3 ページ4

「…うわ」

日記の感想を言おうにもそれくらいしか出てこない。
取り敢えずここがテンプレのようなブラック本丸であったことや、茶色の槍が私…御手杵であったことは分かった。
あと気になるのはバケモノと言う単語だが、とにかくこの本丸からは早めに離れておいたほうが良さそうだ。

だがしかしゲートが開かない、だろうか。
目下最大の目標はこの本丸からの脱出だ。
他に脱出の手がかりがないか探す。

見ると机の上に端末が置かれている。
スマートフォンのような形をしたそれを触って見ると、今と同じ感覚で使うことが出来た。
ロックはかかっていないようで、不用心なことが分かる。
バッテリーが持つかどうかを見てみると、どうやらこれは霊力なるもので動いているらしい。
さすが刀剣乱舞。ぬかりない。

携帯端末でカメラモードで自身の顔を確認すると、やはり御手杵である。
推測を立てていたとはいえこう実際に見ると不思議なものだ。

審神者や刀剣の気配を探りながらそろそろと足を進める。
まずはゲートの確認だ。作動するかどうか確かめなければ。

それは、突然のことだった。

ぐらり、と聴こえてくるべちゃり、べちゃりとした粘着質な音。
いや、音と形容していいのか分からないほど頭の中に響いて来る忌々しく生理的に嫌悪感を煽る音だ。

一瞬で汗が噴き出し反射的にその音の出所を確認しようとした。

庭はまるで成金が金をかけて風情を無視したようなつくりで、かつて綺麗であっただろう緑や池は無く、ひどく嫌悪感を生ませる色合いをしていた。
緑は枯れて茶色か黒に染まり、池には鯉の死骸がぷかりと浮かんだままだ。

頭の何処かがそれを見てはいけないと警鐘を鳴らす。

その時には遅かった。

庭にそれ(・・)はいた。

黒(くろ)く、

蠢(うごめ)く、

轟(とどろ)く、

犇(ひしめ)く、

ぐちゃぐちゃと動いている形容しがたいそれ(・・)と、目が、合った、気が、した。

後書き
クトゥルフで言うなら1d10/1d20のSANチェック？