成り代わり杵の突撃！隣のブラック！ (ページ21)

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CASE2-4 ページ21

「何で…何でよ！！！何で言霊が効かないの！？！」

足元できいきいと高音で喚く審神者を見て顔を顰める。
耳にキンキンと響いて気持ち悪い。

「そう言われても、あんたが無能だったんじゃないかー？」
「…無能？この私が？この、この私が出来損ないだっていうのあんた！」
「実際効いてないじゃん」
「ふざっ、ふざけるなこの鉄くず！《折れろ御手杵！》」
「…で？」
「ッ……！！」

正直身体が引っ張られるような感覚はしたが、それ以外に特に問題は無い。
今のが言霊だったらしいが、御手杵じゃないからだろう、効きやしない。
いい加減わあわあ叫ぶ音が鬱陶しくなってきたので、足で背中を押さえて近くにあった布団を今剣を使って切り取る。
押した時にボキ、と音がしたが知っちゃこったない。

「いだ、いっだぁぁあああああ！！！！折れ、折れだ！！助けて、お願い助けて三日月！！！！私の三日月！！！」

こんな奴に自分の服を切って口に噛ませるのも嫌だったので布団を切ったが、この布団も相当に臭う。
甘いような、酸っぱいような鼻が曲がりそうな悪臭だ。
本当は触りたくなかったが仕方ない。

「何で…なんでよ！！三日月！！！一期！！！鶯丸！！！！江雪！！！！助けて！！！《三日月宗近助けなさ》ングッ！？」
「あんたうるさいぞ？いい加減黙れよ」

それに、と言葉を続ける。

「あんたの三日月は、助ける気は無さそうだしな」

というより、虚ろな目をしてこちらに目を向けずに虚空を見つめている。
目の焦点はあっておらず、見た目の美しさも相まって人形のようにも見えた。
というか全裸だ。

審神者も軽い着流ししか着ておらず、俺が部屋に襲撃する前に何をやっていたかは想像できるというものだろう。
素直に気持ち悪い。

三日月宗近の胸にはシンプルなデザインの黒い水晶がついたネックレスが掛けられており、それから嫌な感じがする。
どう嫌なのかは分からないが、気持ち悪くて触れたくない感じだ。
呪具とかその辺りだろうか。

三日月の助ける気は無い様子を見て審神者は衝撃的だったらしく、更に激しく髪を振り乱して暴れ始める。
足でうつ伏せにさせて押さえ続けているが、顔まで見えるほどの暴れぶりで、まさしく般若の形相だ。

「あー…気絶のさせ方とか分かんねぇんだよな。三日月…は無理か、和泉守ーそこの審神者の端末とってくれー」
「…え、ぁ、お、おう」

後ろから戦々恐々としてこちらを覗いていた和泉守が部屋に顔をのぞかせる。