CASE2-2 ページ18
よく考えたらこれが刀剣男士との初めての面と向かっての会話か。
割り込んだ時は刀を使ったから変な顔をされたが会話どころじゃなかった。
割り込んだのは恩を売ったほうが良いと判断したからである。
「何ゆえあなたがこの本丸に来たのかは分かりませんが…悪いことは言いません。あなた自身の本丸に帰った方がよろしいでしょう」
「一期一振」にしては強い口調でぴしゃりと言い放たれる。
なるほど、なかなかこの本丸で苦労してきたのだろう。
「つっても俺も本丸から逃げてきたクチなんだ。主はいねえよ」
「そ、れは…嫌なことを申しました。申し訳ありません」
正直にいえば申し訳無さそうな顔をされた。
俺の腰の刀を見て気まずげな顔をしたので、何か察したようだ。
「その刀は…」
「あー…折れたんだけどな、鍛冶場の妖精に頼んだら直してくれた。二度と神降ろしは出来ねえらしいけど」
するとひどく痛ましげな表情になって空気が重くなった。
このまま話を続けても得はなさそうなので切り上げよう。
「それより、俺の前の主の契約先って見えるか?」
「…?あ、ああすみません。御手杵殿の前の主殿との縁は繋がってないみたいですな。何も見えません」
「そっか、なら良い」
繋がっていないと言われ、一つ安心する。御神刀勢の見え方も聞かないと分からないが、取り敢えず普通には見えないらしい。
そう思っていると、いやに難しい顔をした一期一振に声を掛けられた。
「…あの、一つお聞きしたい事が」
「何だ?」
「御手杵殿はここの主殿との契約が…出来ていないのですか?」
「…みたいだな。俺にも原因は分かんね」
「そう、ですか…」
何かを言おうとして口を開けたり閉じたりする一期一振。
罪悪感期待やら何やらに押しつぶされそうになっていて、酷い顔だ。
大体彼が何を言いたいかは察しがつく。
「取り敢えず、この本丸のことを聞かせてくれ。何か力になれるかもしれねえし」
「…!ありがとうございます!」
この本丸で初めて笑顔を見た瞬間だった。
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