43話 ページ45
｢いでよ、氷よ！せやっ！｣
｢そんな魔法じゃ、全然当たんないよ〜。｣
｢このノーコン！1発くらい当てろっての！でやっ！｣
｢ふふふ。どこをねらっているんです？｣
『どっちもノーコンじゃねぇか。』
相手はかなり苦戦してるようだ。
そりゃ、魔法が当たらないとなると倒し方なんてわかんねーもんな？
がむしゃらに打ったって当たらねぇよ。
顔にペイントのある2人は、脳筋？っぽいし。
仲間割れ始めてる場合かよ。
｢チッ、どいてろ。俺がやる！オラァ！……なにっ！？｣
またしても、相手の魔法は俺たちには届くはずもなく。
｢アイツらに魔法が当たる直前で、勝手に起動が変わってる！？これは……｣
｢へぇ、ウニちゃんはよく見てんじゃん。｣
｢やはり、陸の獣は目がいいんですねぇ｣
『お前だけは、ただのバカじゃねぇな。』
獣耳の大男は何かを感じ取ったようだった。
｢なんでオレらに魔法が当たらないか教えてあげる。｣
あ、フロイドが上機嫌だ。
楽しそうで何よりだが……
｢オレのユニーク魔法はバインド･ザ･ハート｢巻きつく尾｣は……お前らの魔法が失敗するように、横から邪魔できちゃう魔法なんだー。面白いでしょ。｣
｢ちっとも面白くねぇ！そんなの、反則なんだゾ！｣
あー。言ってしまった。
まぁ、知ったからとて、相手がフロイドに勝つことなんて無理な話だろうが……
｢はぁ……フロイド。ユニーク魔法をペラペラと他人に教えてしまうのはあまり感心しませんよ。｣
｢いいじゃん。わかってたってコイツらには止められねーし。｣
｢はいはい。今日は魔法の調子が良いみたいで何よりです。｣
『ジェイドも大変だな。フロイドが楽しそうで何よりだがな。』
｢えぇ、いつもこうだと僕も嬉しいんですがね。気分が乗らないと1度も成功しないんですから……困ったものです。｣
『まぁ……それはあるな。』
｢ほらほら、早く逃げなよ。捕まえたらオレの尾ビレでギューっとしちゃうよ。どいつから締めてやろうかな？｣
はしゃぐフロイドを横目に、ジェイドと親のような感覚に浸っていた。
このままやりあっていても、ダメだと感じたのか、監督生たちは引き上げるようだった。
｢アハハ、何度来たって同じだよ！そんな貧相なあしで、海の中のオレらに勝てるわけないじゃん。｣
『せめてもう少し強くなってからこいよな。』
｢またのお越しをお待ちしております。｣
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作者名：雨鯱 | 作成日時：2020年8月29日 21時
